国土交通省は11月1日、第2回マンション政策小委員会を開催し、老朽マンションの管理適正化および再生の円滑化にあたっての課題の整理を行った。マンション管理業協会等の事業者5団体が、マンション管理組合の財政難や管理員の人出不足などの現状を報告した。
マンション管理業協会は、修繕積立金の不足による財政難や、65歳定年制の普及等による管理員を中心とする人手不足という現状を報告し、管理組合財政の健全化やマンション管理が市場価値へ正しく反映される仕組みづくりの必要を指摘した。
マンション計画修繕施工協会は、マンション修繕・設計コンサルタントの業務の適正化への取り組みが必要であると強調。具体的には、老朽マンションの大規模修繕にあたっての設計コンサル業務が、原則建築士法では対象外で業務標準が明確でなく、公取対象外であるなどの問題を指摘した。マンション管理組合については、専門知識の不足等により改修手法がわからないという現状があるため、信頼できる公的情報のさらなる情報発信が必要とした。
不動産協会は、老朽マンションで耐震性がある場合でも階高が低いなどの安全性に問題があり質的にも陳腐化していることが多いという実情を紹介。リフォームでは改善できないマンションについては、円滑に建て替えまたは敷地売却する制度が必要であるとした。現行制度では団地の一括建て替え決議をする場合、団地全体で5分の4の賛成に加え、棟別に各棟3分の2の賛成という要件も充たす必要があり、建て替えが難しい現状がある。団地の再生には住み続ける棟と建て替える棟を分割するなど、柔軟な施策が必要とした。
事務局は、地方公共団体が管理組合に対しマンション維持管理するための対策やマンション管理の適正化の仕組み、「適正な管理」の基準、一部の棟を残して他棟の建て替え棟を行う敷地分割の要件や留意点をあげる必要があることを、検討事項として挙げた。
次回12月20日に、とりまとめ案を提示し1月にとりまとめを行う予定。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。