国土交通省は11月1日、2019年度サステナブル建築物等先導事業(気候風土適応型)の第2回公募において、すまい塾古川設計室(熊本市)の「風のとおり道」と、シティ環境建築設計(東京都練馬区)の「流山の四季を楽しむ農家」を、先導的な技術の普及啓発に寄与する「気候風土適応型プロジェクト2019」として採択した。
「風のとおり道」は、伝統構法の石場建てづくりを採用。主に土壁、差鴨居、足固めで軸組を構成し、塗壁や厚板張りにより耐震性を確保した。また、伝統構法+造作家具、地元(熊本県)の自然素材+職人による家づくりにより、地域で建物の維持管理を行いながら技術を継承していくシステムを提案した。
「流山の四季を楽しむ農家」は、農村的な景観の記憶を引き継ぎ、車庫・物置を長屋門形式でまとめ、主屋周辺に畑と緑地を広く配置。長寿命の家づくりに必要な維持管理を支える職人衆の技能の継承を図るために、手刻みと組立・和瓦葺き・土塗壁・板金等の手仕事の場とすることを提案した。また、身の回りの素材で作り上げることを原則とし、天然乾燥の国産材・藁床藺草表畳・国産植物系断熱材で計画した。
どちらの提案も、「地域の気候風土への適応性」と「環境負荷低減などの対策」についての取り組みが敷地や周辺の環境に応じてバランス良く盛り込まれており、地域生産性も十分配慮している点などが評価された。
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