不動産評価ウェブサイト「TAS-MAP」を運営するタス(東京都中央区)は10月31日、「賃貸住宅市場レポート 首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版2019年10月」を発表した。同レポートでは「沈みゆく首都圏の賃貸住宅市場」として、首都圏の供給過多地域における賃料水準の変化を解説。バブル期、ミニバブル期に賃貸住宅を大量供給した結果、賃貸住宅市場が「貸し手市場」から「借り手市場」に移行していると指摘した。
他物件との差別化を図るため、敷金・礼金のレベルを引き下げないとテナントを確保できなくなっており、敷金・礼金レベルを市場の強弱を測るバロメーターとみることができるという。
東京都では葛飾区、足立区、江戸川区、多摩地域、神奈川県では川崎市から横浜市にかけての湾岸沿いの地域と多摩地域、埼玉県ではさいたま市の中心部を除く武蔵野線の外側の地域、千葉県では千葉市の中心部を除く武蔵野線の外側の地域が、敷金・礼金をほとんど受領できておらず、需要の減退や供給過剰によって市場が悪化している可能性が高い。
8月期の賃貸住宅指標(空室率TVI=タス空室インデックス)は、金融機関の貸出態度硬化により供給が減少したことから、首都圏のアパート系空室率が落ち着きをみせた。関西圏では、供給数がミニバブル期に近づいている大阪府のマンション系空室率が継続して悪化傾向にある。
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