断熱工法のノウハウ・資材供給を行うソーラーサーキットの家(神奈川県横浜市、堀江康則社長)は今年度から、内窓取り付けなどの部分的な改修から始めて徐々に効果を高めていく「ステップアップ断熱改修」の手法開発に乗り出す。
既存住宅の状態とリフォーム範囲、それに応じた断熱補強のメニューと工事内容、実施したときの費用対効果とリスクを整理し、パッケージ化して示す考え。断熱に対する価値観を住まい手とつくり手で共有していくためのツールにする。来年度までの2カ年で取り組む方針で、2011年度「長期優良住宅先導事業」の技術検証部門に採択された。
同社によると、断熱改修が進まない背景には、つくり手が断熱の価値を伝えきれず、そのため住まい手もその価値をわからない状況がある。とくに部分的な断熱補強についてはつくり手・住まい手とも効果に対する疑問があり、それが熱心な取り組みの妨げになっているという。
「ステップアップ断熱改修」では、最も高い効果が得られる全面断熱改修を目指すべき理想形として最初に設定。そのイメージを計画の早い段階から共有したうえで、予算に応じて段階的に断熱補強を進めていくための道すじを提示する。
台所などひと間の改修であっても、温熱環境に関わる工事として内窓の設置、壁・床の断熱補強、内装材の張り替え、換気扇の交換といったメニューをピックアップ。それぞれの費用対効果とリスクを明らかにしつつ、最もコストパフォーマンスの高い組み合わせを抽出する。これをあらかじめパッケージ化しておくことで、建築とともに断熱の検討をしやすくするしくみだ。
事業の成果は最終的に、インスペクションから設計・施工、アフターまで一気通貫のマニュアルとしてまとめ、ソーラーサーキットの契約工務店に向けて提供していく。
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