NPO法人環境共棲住宅「地球の会」(理事長=安成信次・安成工務店社長)は11月12 〜14日にわたって、「日本の木の家づくりサミット in 博多」(福岡市)を開催する。14日はオプションで下関市(日独大工交流)、福岡市(九州大学実験棟見学)のいずれかを選択できる。同サミットは、加盟55社が約1年半かけて研究してきた先進事例や実践的な経営ノウハウを公開。加盟社以外も来場可能だ。安成理事長は「日本の家づくりでトップランナーの加盟社が、工務店の普遍的な経営テーマを研究、分析した集大成を発表する」と語る。
開催まであと20日を切り、博多サミットのみどころを徹底解剖した主催の「ちきゅうの会通信 特別号!」が配信となった。生き残りたい工務店は必見だ。
国産材を使用した家づくりを行う全国各地の工務店が加盟する地球の会には、地域工務店に共通する課題の解決や発展を目的に、加盟社が、分科会と委員会を通じて先進事例や実践的な経営ノウハウを研究、共有している。一般的に業界団体の研究成果は加盟社のみ共有するケースが多いが、「地域工務店が知見を共有することで日本の家づくりを底上げしていきたい」(安成理事)という想いから、加盟社以外にも同サミットで公表する方針だという。
同サミット1日目の11 月12日は、各分科会、委員会の発表がある。「工務店のUSP 及び注文住宅営業研究」分科会は、山弘(兵庫県宍粟市)の三渡眞介さんが、「地域の顧客に選ばれる理由」について自社の事例を解説。USP(自社の強み)を共有し、それを生かした営業技術や商品開発のノウハウについて語る。
「工務店の右腕」分科会は相羽建設(東京都東村山市)の相羽健太郎さん、安成工務店(山口市)の池田聖さん、永森建設(福井市)の永森聡さんが登壇。社長の「右腕」となり得る経営者マインドをもった人材育成や強靭な組織をつくるための「右腕」のあり方について研究成果を発表する。
「新規事業・多角化」分科会は、鷲見製材(岐阜市)の石橋常行さん、永森建設(福井市)永森幹朗さん、石橋工務店(長崎県諫早市)の石橋光成さん、スムース(滋賀県草津市)の牧野正一さんが登壇。暮らしをつくる工務店が地域で新規事業や多角化に取り組む意義、ベンチマークした工務店の分析などについて発表する。また「環境CSV」委員会は、鷲見製材の石橋さんが、同会が取り組むカーボンオフセット認定制度やSDGsについての活動報告と、研究成果を発表。
■地域工務店らしく生き残る八方よし経営
各分科会、委員会による発表の総括を兼ねて新建新聞社社長の三浦祐成が「地域工務店らしく生きる八方よし経営」について提言する。
三浦は「生き残りを考えること=『未来志向』となること。未来志向とは、自社はもちろん顧客とその家、協力業者、地域、地球全体など関わるすべてが持続可能となるよう考え実行することだ。そんな生き方を「三方よし」ならぬ「八方よし」と呼び、工務店が生き残るための経営モデルとして提示する。その前提となる今後の市場環境の変化、顧客の変化、さらには地球の会の分科会で1年間蓄積されてきた知見についてもポイントを解説していく」と語る。
■「木の家と健康」研究の解説も
2日目の13日には、安成理事長が、地域工務店の普遍的なテーマである「自然素材」「デザイン」「職人仕事」について基調講演を行う。工務店の生き残りパターンと令和時代に求められる戦略について解説する。そのほか、建築家の竹原義二さんや横内敏人さんらが登壇し、住宅のデザインのあり方などについて解説する。
最終日の14日は、オプションとして、福岡か下関のどちらかの市を選んで視察ツアーに参加できる。福岡では、自然素材に関連し、九州大学と安成工務店が「木の家と健康」について共同研究を進めている実験棟を見学する。自然素材が及ぼす健康へのメリットについてエビデンスを交えた解説がある。
一方、下関では、同会の活動の一環で、ドイツの職人の国家資格を持つ大工を、加盟工務店が一定期間受け入れる事業によって来日した大工との交流会が開催される。ドイツの大工を交えたディスカッションなどを行い、地域工務店の目指すべき職人像などについて探る。
同サミットは地球の会で10 月末まで参加申し込みを受け付けている。
URLは次の通り。
http://www.chikyunokai.com/summit/
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。