建設技能者にICカードを配布して保有資格や就業履歴などをデータベースに蓄積し、評価の適正化や処遇の改善を図る「建設キャリアアップシステム(CCUS)」が4月から本格運用された。それに伴い、CCUSと連携できるシステムやカードリーダーが各社から発売されている。
ラピーダ(東京都港区)ではCCUSに就業履歴を登録し、併せて働き方改革で義務付けられる就労時間管理が容易に行えるスマートフォン用アプリ「EasyPass AIR(イージーパスエア)」を開発し、4月から販売している。スマートフォンのGPS機能を利用するため、現場にカードリーダーを設置しなくても導入できるのが、同システムの特徴だ。
イージーパスエアを開発した同社代表取締役の早川一郎さんは、「カードリーダーが設置できない戸建て住宅の建設現場や小規模なリニューアル工事、改修工事で利用できるように開発した。工務店や個人事業主(一人親方)に利用してもらいたい」と話す。カードリーダーが置けるような管理体制が整った公共工事現場や大きな元請け現場と違い、地域の工務店や一人親方が携わる現場は工期も短く、また、しっかりした囲いもないのが多数だ。そのような現場ではイージーパスエアが最適という。
現場に近づくと到着が通知されるのでボタンを押せば出勤・退勤が登録される。さらに、自動入退場機能を利用すればボタンを押すことなく入退場登録が可能になる。画面を見ただけで直感的に操作方法が分かるユーザーインターフェースで誰でも簡単に操作でき、iPhoneなら作業内容を音声入力することもできるので、記録の手間が省ける。また、出面表を自動的に作成するため、入退場管理や勤怠管理システムとしても使用できる。
利用料金は建設キャリアアップシステムへのデータ送信サービスを含めて1ユーザーあたり年額5000円。1ユーザーから契約が可能。
早川さんは、CCUSが業界全体の「人事システム」になってほしいと期待を寄せる。「キャリアと資格に応じて給与が上がっていく仕組みを作ることや労働実態を曖昧にせず働いた実績を証明することは、技能者のモチベーションを高め、また若者の入職にもつながる。そのために同製品を特に町場の工務店に利用してもらい人材の獲得につなげてほしい」と願う。
建設キャリアアップシステムは、8月31日時点で、約10万人の技能者が登録している。国土交通省では2024年までに全技能者(330万人)の登録を目指している。
製品の問い合わせは、販売元のアートサービス(Easy Pass専用電話:0120-934-160、E-mail:[email protected])まで。
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