国立研究開発法人防災科学技術研究所(防災科研:茨城県つくば市)と一条工務店(東京都江東区)は、ゲリラ豪雨や洪水が発生した時に懸念される「床下浸水」「床上浸水」を防止するための様々な技術が搭載された「耐水害住宅」の実大規模の公開実験を行うと発表した。実験会場は、防災科学技術研究所・大型降雨実験施設。10月2日に実施。
実験では、自然降雨に近い状態を再現できる世界最大級の大型降雨実験施設によって洪水状態を再現し、一般仕様住宅(木造軸組工法)と耐水害住宅(木造枠組壁工法)の性能比較を行う。各種計測機器やビデオカメラを多数設置し、両建物の状況をリアルタイムに確認。豪雨・氾濫による洪水の水かさが、住宅の床の高さ以上に達した時の住宅と住宅内部への浸水状況を計測し、安全性の違いを客観的に比較するための情報を取得する。
大型降雨実験施設は、最大で約3000m2(44m×72m)の範囲に散水ができ、ゲリラ豪雨を再現する10分間当たりの雨量50mm、最大雨滴粒径6mm程度の降雨が可能なもの。耐水害住宅は、サッシなどの開口部の水密性の向上、水の浸入・逆流を防ぐ特殊弁の採用などの対策が施されている。また、被災後も電気や給水・給湯などのライフラインを確保するため、外部の電気設備は水没から免れる高さに設置されている。
両者は、こういった官民連携による共同研究により、各種対策工法や住宅におけるリスクの明確化、さらに各種対策工法の標準化につながるような基礎データの提供を考えているとする。そのうえで、今後、住宅関連メーカーや保険分野企業と検討を行いながら、「豪雨・水害」への備えや居住者の防災行動などに資する研究開発を行うことで社会実装を目指すとしている。
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