HEAT20 G3 どう取り組む!?
最低室温15℃・ 暖房負荷75%削減
最低室温15℃・ 暖房負荷75%削減
断熱性の高い住宅の普及を目指す住宅技術の研究者や住宅・建 材生産者団体の有志によって構成するHEAT20(2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会)は、G1・2を上回る新たな外皮性能グレード「G3」を6月に示した。各地域において室内温度を15℃を下回らない水準に保ち、冬期間の暖房負荷を現行の省エネ 基準レベルの住宅と比較して、約50%~75%削減する水準に設定している。
G3が示すUA値(外皮性能)の基準は、1地域の北海道では 0.20W/㎡K、6地域の東京は0.26W/㎡K。G3の東京の外皮性能が、G2の北海道の性能(0.28W/㎡K)を上回るという高い基準だ。国土交通省の調査によると、戸建て住宅を中心とする300㎡以下の小規模建築物の省エネ基準(1地域・UA値0.46W/㎡K、6地域・同0.87W/㎡K)への適合率が62%(2017年度現在)という状況の中で、G3は工務店や住宅業界に対して、どのような影響を及ぼすのか、どのように取り組んでいけばいいか──。
すでにG3レベルの家づくりに取り組んでいる、今後のスタンダードとして意識している、といった高性能住宅のフロントランナー工務店や設計事務所の関係者らに聞いた。
健康リスクの低減に期待
HEAT20が示したG3仕様の住宅における暖房期の最低室温は、部分間欠暖房で3地域(盛岡など)~6地域(東京など)で概ね15℃を下回らない水準、7地域(鹿児島など)では 16℃を下回らない水準としている。
現行の省エネ基準と比較した暖房負荷の削減率は、1・2地域(北海道)で約50%、3地域で約60%、4地域(仙台など)では約70%、5地域(宇都宮など)~7地域で約75%となる。HEATによると、室内温度が15℃を下回らないG3仕様の住宅では、全室をいつでも有効活用でき、結露やカビ・菌類の発生も抑制、体を動かしやすく健康リスクを減らす可能性も期待できるという。
HEAT20は、モデル的に6地域におけるG3の仕様例を示している。それによると断熱構成は、天井にグラスウール(熱伝導率λ値0.034W/mK)210㎜厚・吹き込み、壁に・・・・
⇒ 続きは、最新号『新建ハウジング タブロイド版 9月10日号に掲載しています。