首都圏を直撃した台風15号の影響で、東京電力は9月10日、千葉県を中心に約62万5100戸の停電が続いていると発表した。気象庁によると、9日には、瞬間最大風速が57.5メートル、東京都大田区では43.4メートルなど、記録的な暴風に見舞われた。
千葉県内の住宅を中心に、浸水や屋根瓦が剥がれるなど甚大な被害が出ている。工藤工務店(千葉県八街市)によると、「現在把握しているだけで、OB施主は50戸以上の被害が出ている。おそらく100戸ほどまで膨らむのでは」(同社工事部長 柳橋篤志さん)。社員の約3割が被災しているが、OB施主を優先に、同社は連日連夜、被害状況の実態把握と、修復作業に追われている。
ただ、停電によって修復作業が阻害されているのが現状だ。同社が事務所を置く八街市は未だ電力が復旧していない。協力業者との連絡やクラウド上に保存した各種データの閲覧や管理といった作業が行えず、混迷を極めている。
また、停電によって地域のガソリンスタンドが営業を休止しているため、作業車の稼働が制限されているという。災害対応のスタンドは長蛇の列で、現場に行くのに時間が掛かっている。同社工事部の柳橋さんは「修復作業がとてもじゃないが追いつかない。これからが本当に忙しくなる。協力業者の人員確保と建材の調達、顧客対応などが山積みだ」との認識を示した。
経済産業省は9日、台風15号の影響で停電が続く一方、各地で気温の上昇が見込まれることから、東電に対して、早期の完全復旧に努めるよう指示した。また、他の電力会社に、復旧人員や電源車の派遣について、必要な体制を整えることや、病院や公共施設などの施設について、自治体と協力し、優先的な復旧や電源車の配備を行うことも要請した。
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