独自の空調システム採用したレベル3のQ1.0住宅を提供
暖房エネルギーを84%削減
新住協(新木造住宅技術研究協議会)が提唱する高断熱で省エネ性能が高い「Q1.0(キューワン)住宅」の設計を手掛けるRaphael設計(ラファエル設計、 栃木県宇都宮市)は、このほど太陽熱を利用する独自の全館空調システムを初めて導入した。Q1.0住宅のなかでも、より性能が高いレベル3の住宅を同県鹿沼市の粟野町に完成させた。
現行の省エネ基準で建てられた住宅に比べ、暖房に要するエネルギーを約84%削減(暖房負荷11.7kWh/㎡)。この空調システムと14畳用のエアコン1台で、約90畳分の冷暖房を行う。同社代表の神長宏明さんは「この住宅の性能と空調システムを今後、自社のスタンダードとして地域で普及を図りたい」と意気込みを語る。
完成した住宅は、夫婦と子ども3人が暮らす木造軸組の2階建てで、延べ床面積は168.92㎡。設計を手掛けた神長さんが現場監督も務め、鹿沼市内にある家業の工務店・神力建設が請け負った。
8月3・4日に開いた完成見学会には、地域の人たちなど約40人が来場。見学会の日は、外気温が37℃ある中で、来場者は家のどこでも室温が25℃と快適に保たれていることを体感し、一様に驚いていたという。神長さんは「(見学会で)家の中に20人ぐらいがとどまっている時間帯があったが、室温は1.5℃ぐらいしか上がらなかった」 と説明する。そのほか、新住協関東支部の会員向けにQ1.0住宅レベル3の実例として解説したり、各地の工務店や設計事務所の関係者らが視察に訪れるなど、同住宅は業界内でも注目を集めている。
同住宅では、冷暖房にかかる年間 のエネルギーコスト(電気代)は、条件にもよるが、間欠運転で暖房が1万1421円、冷房が3477円と計1万4898円に抑えられる。神長さんは「UA値 やQ値の数字だけで断熱など住宅の性能が判断される風潮が広がっているように感じる」と指摘しながら、レベル3のQ1.0住宅を通して「実際に光熱費を大幅に削減できたり、年間を通じて安定した室温のもとで健康で快適に過ごせるといった、暮らす人が“実感できる性能”を提供したい」と話す。
新住協が提唱する「Q1.0住宅」は、 現行の省エネ基準でつくられた住宅 と比較して、・・・・
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