2004年7月12日から19日にかけて記録的な集中豪雨が新潟・福井・福島の3県を襲い、河川の堤防が決壊して大きな被害を引き起こした。なかでも新潟県中部の三条市・中之島町を中心とした「7・13豪雨災害」は家屋の全半壊もさることながら、長い間家屋が泥水につかることにより「水に弱い家電や新建材がつかいものにならない」という事態を招いていた。被害から半月たった7月末に三条市・中之島町を訪ね「泥水につかった家屋はどうなったか」ルポした。
■泥水につかって起きた家屋被害
新潟県三条市は、市の中心部を流れる五十嵐川の堤防決壊で、川の左岸「嵐南地域」一帯が濁流に襲われ、13日午後から泥水につかった。幸い全半壊は少なかったが、床上浸水は5538戸(7月末現在)におよんだ。
浸水は低地の市街地では最大高さ1メートル60センチ。1階部分が埋まってしまう高さだ。大量の泥が水といっしょに流れ込み、泥水は一昼夜引けなかった。
「水が引けても床上浸水の状態は3日間続き、その後は床下に平均20〜30センチ、多いところで1メートルもの泥が残った」(三条市役所)という。
泥水につかった家屋の被害状況とその因果関係は、はっきりした調査と解析が進まない現段階ではなんともいえないが、現地をたずねると、大きく3つの被害状況が指摘されていた。
ひとつは1階部分にあった電化製品。「電気系の基盤がショートして故障してしまって軒並み使いものにならなくなった」(市建築住宅課)こと。
2つめはベニヤ板やパーティクルボードの下地材・面材が「泥水を含んでやはり使いものにならなくなってしまった」(多くの大工・工務店)こと。
3つめはMDF(中質繊維板)やパーティクルボードを基材とする家具や建具が「水を含んで剥離したり狂ったりして使えなくなった」ことだ。
少なくて一昼夜、多くて3日間に渡って家屋や電化製品が泥水につかり泥水を吸い込む、という通常では想定できない事態に直面し、水に弱い家電や新建材が改めて浮き彫りになった格好だ。こうした被害は中之島町でも同じだった。
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