桂離宮や伊勢神宮など日本の伝統建築の美しさや伝統文化の素晴らしさ世界に紹介したことで知られる近代ドイツの建築家ブルーノ・タウト。タウトの在日中(1933年から36年)の業績を偲ぶ遺品・遺作を展示した「タウト資料館」が、14日に群馬県高崎市の創造学園大学(学校法人 堀越学園)のキャンパス内に開館した。
今年4月の創造学園大学開校を機に、60年あまりの間岩波書店に保管されていたタウトの遺品が寄贈された。
展示されている遺品は、タウトが桂離宮を訪問した際の印象を図と文章で記した「画帖 桂離宮」(岩波書店1981)の原画や日本国内旅行記のほか、高崎にあった群馬県工業試験場の嘱託時代につくった工芸品、タウトの死後に夫人か寄贈されたデスマスクなどで、総数160点に及ぶ。今回の資料館開館によって全国に散在するタウトの遺品が収集される可能性もあるという。
大学長の小池大哲さんは「タウトの意志を継承するのは大学の使命。資料館の開館は、我が校の学生にとって優れた日本の美を発見する教材になる。またこの資料館が、群馬という地域文化を認識する新たな存在になってほしい」と話す。
式典には大学職員や学生や群馬県の産業振興課のほか、生前のタウトと交流があった人たちやタウト研究者など100人あまりが参加した。
旅行中のタウトをもてなしたという参加者から、そのとき本人から貰った名刺と、その後タウトが教授をつとめていたトルコの大学の名刺が寄付され、新たな展示資料に加えられた。
また、当時工業試験場の職員で生前のタウトと交流の深かった水原徳言さん(93)も式典に出席。小池学長は、タウトが高碕に滞在していた頃の様子を知る水原さんの言葉を記録し、後世に伝えていきたいとした。
同館は無料で一般公開されている。
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