国土交通省は8月8日、地域の気候風土に応じた木造建築技術の継承・発展と低炭素社会の実現に貢献する事業を支援する2019年度「サステナブル建築物等先導事業(気候風土適応型)」の第1回採択事業(気候風土適応型プロジェクト2019)を決定した。3件の応募の中から、シティ環境建築設計(東京都練馬区)の「海老名の緑陰山居」(建設地=神奈川県海老名市)と、野の草設計室(愛媛県今治市)の「誕生と成長の家」(同=愛媛県今治市)を採択した。
シティ環境建築設計の「海老名の緑陰山居」は、海老名市内に残された文化財の屋根形などの景観要素を取り入れ、密集市街地にあっても静寂な緑陰小住宅となるような外観・外構を計画したもの。長寿命の家づくりに必要な維持管理を支える職人衆の技能の継承を図るために、手刻みと組立・和瓦葺き・土塗り壁・板金等の手仕事の場としたほか、身の回りの素材で作り上げることを原則として、天然乾燥の国産材・藁床藺草表畳・国産植物系断熱材で計画した。
野の草設計室の「誕生と成長の家」は、伝統工法による木組み土壁・石場建て。地場の素材や職人、伝統技術を活かし、後継者育成のために若手の起用を積極的に行うことで技術継承の機会とするほか、建築文化の発信と建築に触れる機会として現代版『結い』を試み、施主を中心に一般の人々を交えて竹小舞掻きや荒壁塗・基礎石ハツリなどを行う。
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