「建築基準法の改正により、建築可能な木造建築物はより大きく、広範囲になってきている。だが、まだ普及しているとは言えない―」。このほど、東京港区のカナダ大使館で開いたセミナー「木造のススメ」でこう話すのは、カナダツガ・パートナー協会ジャパンプロダクトディレクターの宮崎豊氏。1998年9月の法改正で、準防火地域でも規定の性能を満たせば延べ1500平米以下までの木造3階建てが建築可能になっているが、今ひとつ一般には普及していないという。
現在の法律から考えれば木造3階建ての集合住宅なども建築可能だが、宮崎氏は「1級建築士のなかでは『木造以外』の建築物を創ることがステータスの一つになっている感がある。これも大型木造建築物が少ない要因」と指摘する。
木造建築の優位性については「日本の場合、木造の減価償却期間は約20年、これに対しRC造は47年。これは経理用語であり、実際の建物の寿命とは無関係だ。相続税対策などで賃貸住宅を建てる場合、減価償却の期間が短い木造の方がオーナーにとって有利となる。オーナーの事業採算性まで考えていくことが本当のCS。これはカナダの木材だけでなく国内の木材業界にも言えることだ」と話す。
宮崎氏は、2001年に完成した木造3階建て・延べ900平米のカナダ大使館職員住宅(東京・青山)の建築に当初からプロジェクトマネージャーとして参加。現在、職員8世帯がカナダ在住時とほとんど変わらない住環境の中で暮らしているという。
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