積水化学工業(大阪市)住宅カンパニーはこのほど、高齢者向け事業の協業先であるアグリマス(東京都大田区)の認知症対策事業に参画し、『話食動眠(わしょくどうみん)』(コミュニケーション、食事、運動、睡眠)の考え方に基づく「認知症の早期発見、重症化予防プロジェクト」を実施した。
同社グループ会社が運営するサービス付き高齢者住宅とデイサービスセンターにおいて約5か月間、自立から要支援の客を対象に運動とコミュニケーションを中心としたプログラムを提供し、心身への効果測定やプログラム終了後のヒアリングを行って効果を確認したもの。
MMSE(認知機能検査)、脳活バランサーの2つの手法で「認知機能」、認知症の超早期発見チェックシートQ−ESDの手法で「生活機能」の測定を行ったところ、MMSEでは14名(対象19名)、脳活バランサーでは11名(対象21名)、Q−ESDでは9名(対象12名)にプログラム前後で各機能の維持・向上がみられた。
また、歩数とQ−ESDの相関を見ると、Q−ESDのスコアが低かった人ほど日常生活の歩数が多く(生活機能が高いほどQ−ESDのスコアは低い)、アグリマス社が配信する「健幸TV」による体操プログラムに参加する回数が多かった。さらに、歩数が多い人は良質な睡眠が確保できており、Q−ESDのスコアも低く、生活機能と認知機能が高い事例も確認された。
意欲や生活習慣等に関するヒアリングでは、『話食動眠』に基づいた生活習慣が認知機能と生活機能の維持・向上に寄与することや、サ高住のような適度な距離感での共同生活が生活習慣や意欲にも様々な効果をもたらすことが分かった。また、高齢者が気軽に安心して通うことができ、運動を行い、他者との関わりを持てる「場所づくり」が、本人の「意欲」の醸成につながり、認知症予防に効果的であることが確認された。
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