旭化成建材(東京都千代田区)快適空間研究所は、首都大学東京・須永研究室(建築学域)と共同で実施した「住宅の温熱性能と居住者の意識(熱中症に関する意識)」調査の結果を発表した。それによると、現在の住まいで、最近2~3年以内に熱中症になったことがある人は、10.7%だった。
どこで熱中症になったかを聞いたところ、「寝室」(28.3%)、「居間・食堂」(25.6%)がそれぞれ約3割となり、普段過ごす時間が長い場所で熱中症になっていることがわかった。この熱中症の発生場所上位2カ所について、住宅の温熱性能別に見てみると、温熱性能が「低」「中」では約3割前後の人が熱中症になったと回答しているのに対し、温熱性能が「高」の場合には「寝室」1.1%、「居間・食堂」8.7%と少なくなっている。また、温熱性能が高いほど、寝るときの寝室の温熱環境が「快適」と回答する割合が高くなっており、熱中症発生率の低下につながっていると考えられる。
自宅内での熱中症について「心配している」「少し心配している」と回答した人は、43.1%と半数以下だった。年代別では、20代の65.1%が心配している一方、60代では38%と、年代が上がるにつれて心配する割合が低くなっている。危険度についても、「危険」「厳重警戒」になる場合があると認識しているのは全体の17.3%にとどまり、60代では7.6%と最も低いという結果になった。
今回の調査で、熱中症になりやすい高齢者ほど熱中症への意識が低いことがわかった。同社は今後、高齢者を中心に温湿度を確認するなどの対策を伝える活動を実施していくという。
調査対象は、全国6地域19都道府県の戸建て持ち家居住者で、20~60代の既婚男女1175人。
同調査では温熱性能別の比較をするため、回答者に住まいの窓ガラスの種類について選択してもらい、結果を分類、解析。シングルガラスを温熱性能「低」、ペアガラスを温熱性能「中」、Low-Eペアガラスまたはトリプルガラスを温熱性能「高」とした。
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