最高気温観測の記録を持つ埼玉県熊谷市とLIXIL(東京都千代田区)、東京大学の前真之准教授は、室内熱中症予防に向け、外付け日よけの効果を検証するプロジェクトを開始した。戸建て住宅に日よけを設置し、室内環境の変化や体調への影響を調べ、効果的な日よけの使い方などを分析し、対策の普及啓発につなげる。
対象は熊谷市内にある戸建て住宅で、市報などでプロジェクトへの参加希望世帯を募集。応募数は約300件で、「想定よりも反響が大きかった」(市職員)という。応募世帯の中から、住宅の向きや家族構成などの違いで対象を選定。最大30世帯にLIXIL製の外付け日よけ「スタイルシェード」を設置して、室内環境と体調の変化を調べる。
対象住宅には、複数のセンサーを取り付け、インターネット経由でデータを集める。センサーは、室外1カ所、室内5カ所(窓際、居室中央、エアコンの吹き出し口など)の計6カ所に設置。温湿度センサーのほか、人がいるかどうかを検知するためのCO2濃度センサー、熱中症の危険度がわかる「WBGT(湿球黒球温度)」の計測器、エアコンの消費電力を測る機器で、熱中症に関連のあるデータを多面的に計測する。計測期間は7月上旬から8月上旬までの4週間で、日よけを使う期間と使わない期間を1週間ずつ交互に設定し、測定を行う。
収集したデータをもとに、子供の有無やペットの有無、エアコンの設定温度の違いなど世帯ごとの特徴により、エアコンの使い方などにどのような差が出るかを検証。結果をもとに効果的な日よけの使い方などをわかりやすくまとめ、熱中症対策の啓発に生かしていく。
同プロジェクトは、環境省の「熱中症予防対策ガイダンス策定に係る実証事業」の採択事業の一つとして行われるもの。ほかにも8つの事業が採択されており、結果は「熱中症予防対策ガイダンス」として2年後をめどにとりまとめられる予定。
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