一般社団法人リノベーション協議会は6月13日、東京都内で第11回定時社員総会を開催。10周年記念講演では、「リノベーション業界 これからの10年」と題し、同団体の各理事がリノベーション業界の現状の課題および目標、予測について語った。内山博文会長(Japan. asset management社長)は、リノベーション業界について2極化が進み、成功した企業でさえも「頑張れば事業規模が大きくなるが、経営が難しくなる時代」に突入しつつあると指摘。リノベーションが当たり前になりつつある「コモディティ化」が業界で始まっているとし、脱コモディティ化の方策として「社会課題を解決するリノベーション」を提案した。
内山会長は、個別の対策として「大から小へ」「経験から直観へ」「内製化からアウトソーシングへ」「コアスキル向上からコアスキル+α」「コアビジネスの成長からプラットフォーム型(みんなで成長)」「プロダクトアウト(作り手視点を優先させた商品開発)からソーシャルアウト(社会性を捉えた商品開発)」をキーワードとして挙げた。
齊藤克也理事(棟晶常務)は、「日本で販売しているサッシは断熱性能が低く、韓国では売れない」とし「先進国の中で下位の断熱性能レベル」と現状の課題を指摘。「北海道エリアにおいて、ヒートショックはほとんど見られない」とし、「多くは三重県、岐阜県、香川県など西日本エリアで発生しているため、同エリアでの断熱性能リノベーションが重要になってくる」と強調した。今後、健康寿命が長い国をめざすべきとし、マンションの場合、内窓の取り付けと断熱材を充填するだけでかなり改善できると提案した。
山下智弘前理事(リノベる社長)は、IoT・スマートハウスについて、「アメリカ西海岸の多くの不動産テック関連会社は、日本の不動産業界は固有の慣習が多く、日本進出に興味が薄い」とし「日本の不動産テックビジネスは、立ち遅れる可能性が強い」と予測。急速にスマートハウス市場は拡大しつつあるが、暮らしに関わる事業者とテクノロジー企業との間には大きな隔たりがあると指摘。その課題解決のためのコミュニティ「LivingTechカンファレンス」を2018年11月からスタートしたことを報告した。
その他、山本武司理事(シンプルハウス社長)からは同協会の在り方について、大島芳彦副会長(ブルースタジオ専務)からは街づくりについての提案があった。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。