東急建設(東京都渋谷区)とTHK(東京都港区)は6月4日、共同開発中の建設現場用搬送ロボットの実証実験を開始したと発表した。
同ロボットは、段差や粉じんのある半屋外環境で行われる資機材の搬送作業を自動化するためのもの。THK独自の自律移動制御システム「SIGNAS」を搭載することで、日々変化する作業環境に合わせて即座に経路変更し、狭い通路や段差のある建設環境でも決められた位置に資機材を搬送できる。
自律移動制御システム「SIGNAS」は、ロボットに搭載したステレオカメラで経路周辺に設置したサインポストの距離と方位を計測し、目標経路を走行するように軌道を修正する。目標経路の設定はサインポストを設置するだけで、プログラミングの知識がない現場作業者でも素早く簡単に行える。目標位置への搬送後は、待機もしくは折り返して戻ってくるように設定可能。
同ロボットの左右輪は独立した高出力モータで駆動するため、前進、後進、旋回の動作がスムーズ。段差越えの衝撃を和らげるため、前輪にはサスペンション機構、後輪には中空タイヤを採用する。移動速度は歩行と同程度だが、1トン程度の重量物を牽引する場合は、安全のために歩行の半分程度の速度となる。障害物を検知するLRF(レーザレンジファインダ)とバンパセンサも搭載し、進行方向が妨げられた場合でも安全に停止できる。
充電は100Vコンセントからの給電で行う。稼働時間は負荷条件(搬送重量や回数)によるが半日~1日程度を想定する。
今回実施した実証実験では、都内の大規模マンション工事現場で、同ロボットが台車に載せた1トンの資機材を牽引。鉄板の段差を乗り越え、物の配置などの周辺環境が変化しても安定した走行ができることを確認した。台車の切り離しは現時点で手動となっているが、自動切り離しを開発中という。
両社は同ロボットの導入により作業効率約30%向上を目指す。想定では、7名で行う資機材搬送作業が5名で実施可能になるという。特に運搬距離が長い現場での効果を見込む。同ロボットの商用化は2020年春を目指す。商用化にあたっては、建設現場への導入がしやすいようにレンタルでの提供を予定する。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。