木造住宅の倒壊シミュレーションソフト「wallstat」の開発者・中川貴文京都大学准教授を代表理事に1月設立した一般社団法人耐震性能見える化協会(以下、見える化協会)が4月から活動を本格化した。
4月17日には事業者向けに入会説明会を行ったほか、京都駅前では月1回のミニ講習会をスタートしており、5月27日(東京)以降は岡山、大阪、熊本、福井など京都以外でも講習会を開催する。このほか、奈良県川上村を見える化協会の拠点とし10月15日にカンファレンスを開催する予定だ。
「wallstat」は設計データを入力することで、プレカットCADデータとの連携などによって、実際に建設される住宅が様々な強度の地震でどれだけの損傷が発生するかがパソコン上で動画で確認できる技術。2010年から公開しているデータのダウンロード数は熊本地震後に急増し、最近でも月1000件程度のダウンロード(累計は2万7000件)を記録している。
見える化協会の主な事業は「wallstat」の普及促進と「wallstat」の活用に伴う地震災害への安心と安全の検証と評価につなげることで実質的な地震被害軽減につなげること。
運営が始まる情報交換WEBサイトでは、ユーザー同士が情報交換しながら専門家によるサポートや建材データベースの提供が受けられる。工務店や一般消費者などユーザーは「マスター会員」として無料で登録でき、操作方法や強度データなどを自由に入手できる。
普及に向けては、正しい技術を持つ証明となる「wallstatマスター」や採用する建材が正しくモデル化されていることを証明する「認証建材」、正しく変換できることを証明する「提携ソフトウエア」などの検証制度に取り組む。
事務所となる奈良県川上村は中川さんの故郷。「川上村とコラボし住宅IT技術の拠点化をすすめることで、吉野の杉・桧の耐震性能を広くアピールし、地域振興につなげたい」と期待している。
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