一般財団法人建築環境・省エネルギー機構(IBEC、東京都千代田区)が主催するグリーン建築推進フォーラムの第8回シンポジウム「建築産業とSDGs〜導入の意義、方法に関するガイドラインの紹介〜」が2月20日、都内で開催された。
同シンポジウムの共催者である一般財団法人日本建築センター(東京都千代田区)からこのほど発行された『建築産業にとってのSDGs(持続可能な開発目標)〜導入のためのガイドライン〜』の紹介とともに、建築分野がSDGsに取り組む意義やメリット、課題などについて議論し、SDGs目標年となる2030年とその先を展望するもの。250名を超える参加者が出席した。
シンポジウム前半では、国土交通省住宅局住宅生産課長の長谷川貴彦氏と、CSRデザイン環境投資顧問(東京都千代田区)代表取締役社長の堀江隆一氏が基調講演を行った。
長谷川氏は「住宅・建築行政とSDGs」と題し、政府がSDGs実施指針として掲げる8つの優先課題と、それに沿った住宅施策を紹介した。その上で「政府の取り組みはまだまだ発展途上。政府が関係する様々な場面で、SDGsという概念・キーワードが出てくる場面は1、2年前に比べて圧倒的に増えている。おそらく今後、私どもの施策もSDGsの枠組みをより意識しながら進めることが自然なトレンドになってくるのではないか」との考えを語った。
堀江氏は「建築・不動産におけるSDGsと投資の動向」について解説した。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がPRI(責任投資原則)に署名した2015年以降、環境・社会・ガバナンスの要素への取り組みを評価する「ESG投資」が日本でも主流化している状況を説明し、企業が長期的な投資を呼び込むためには、SDGs達成に向けた重要課題の設定やKPI開示による非財務的価値向上への取り組みが重要であることを語った。
シンポジウム後半では、同ガイドラインの執筆担当者による解説とパネルディスカッションが行われた。パネルディスカッションでは、日本政策投資銀行執行役員の竹ケ原啓介氏、積水ハウス環境推進部部長の佐々木正顕氏、鹿島建設執行役員の国平浩士氏、東急不動産ホールディングス・グループ企画政策部サステナビリティ推進グループの松本恵氏がパネリストとして登壇し、建築業界としてSDGsに取り組むことで得られる価値と、2030年以降の業界の将来像について議論した。
これらの議論を受けて、同機構の理事長を務める村上周三氏は、執筆に当たった今回のガイドラインについて「建設業界としてのブランド価値を向上させたいという思いから発行した。この業界には後進性もあり、必ずしも理念としてリーディングな立場にはない。SDGsという優れた取り組みを先導的に取り組むことで、業界のブランド価値を向上させ、人材確保を含めて一層の発展につなげたい」と思いを語った。
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