国交省は4月2日、京都府内に建築予定だった鉄骨建て3階建てアパートで、建築確認申請において構想設計者が構造計算書を不正に修正したことが判明したと発表した。
不正を行ったのは、ミレ建築設計事務所(大阪府大阪市)代表の張武雄一級建築士(65)。2、3階建ての鉄骨造アパートを中心に構造設計を請け負ってきた実績を持つ。
張建築士は昨年09年8月12日、近畿建築確認検査機構に提出した確認申請図書における構造計算書のなかで、基礎梁のコンクリートと鉄筋の付着強度を検討するプログラムを使用した際、さらに工学的検討が必要なことを示す「ワーニングメッセージ」を削除して確認検査機関に提出した。
適合判定機関の(財)日本建築総合試験所による適合判定の段階で9月3日に不正が発見され、張建築士に確認したところ、偽装を認めた。確認申請の段階で不正が判明したため、建築物はまだ着工されていない。
大阪府ではこれまで張建築士が構造設計に携わった物件が大阪府を中心に119件あることを確認。本人は今回以外の物件での偽装は行っていないとしているものの、国交省は今後それらの物件について全数調査を行うよう関係特定行政庁に要請する。
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