国土交通省は1月16日、建設業界で深刻化する担い手不足の解消に向けた施策などを検討する有識者会議「中建審社整審基本問題小委員会」(大森文彦委員長・弁護士、東洋大学法学部教授)の会合を都内で開催した。昨年6月の中間とりまとめを受け、委員の意見を聴取。特段の異論は出なかった。同日の議論を踏まえ、建設業法改正に向けた関連法案を通常国会に提出する方向で調整を進める。
国交省の諮問機関、中央建設業審議会と社会資本整備審議会の下部組織にあたる同小委員会では、計5回にわたって長時間労働の是正や処遇改善、生産性向上などについて議論してきた。
長時間労働の改善に向け、工期設定の基準の明確化や施工時期の平準化を推進する方針を明記。例えば、同省が「平準化が遅れている」と判断した公共団体などに対し、関係省庁などと連携し、実行を促す制度を創設する方針だ。
焦点となっていた職人や技術者らの処遇改善については、能力や経験に応じた処遇を受けられる制度の構築も進める方針を明記。注文者が請負人である企業に対し、施工に必要な一定の技能レベルを指定することができる制度を構築する。施工体制台帳の記入項目に「技能者名簿」を追加し、技能レベルに見合った対価の支払いを受けられる仕組みを作る。また社会保険加入対策の強化を進める。未加入の企業に対し、建設業の許可や更新を認めない仕組みを構築する。
生産性向上に向けては、主任技術者配置要件合理化のための、いわゆる専門工事共同施工制度や重層下請構造の改善に向けた環境整備を進める。
そのほか、災害時やインフラ老朽化に対応できる入札制度の構築について、災害発生時の公共発注者の責務を明確化する方針を明記した。
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