住宅の省エネルギー性能向上などに努める6団体はこのほど、国土交通省が募集した「今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方について(第二次報告案)」に関するパブリックコメントに共同声明を提出したと発表した。共同声明では、省エネルギー対策のあり方について住宅取得者の意見を中心に議論すべきと主張。「住宅の新築・購入時の省エネ性能の検討の意向」は94.5%が前向きであることから、2020年の省エネ基準適合について、消費者保護の観点から予定通り義務化すべきであると訴えた。
今回の共同声明では、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会(東京都新宿区)、一般社団法人日本エネルギーパス協会(東京都港区)、一般社団法人パッシブハウス・ジャパン(神奈川県鎌倉市)、M’s構造設計(「構造塾」主催、横浜市)、NPO法人日本外断熱協会(東京都港区)、Dotプロジェクト(事務局=岩手県盛岡市)の6団体が連携した。
近年の自然災害の増加などを踏まえて、気候変動対策の取り組みとして直近10年が最も重要であることや、閣議決定に記載された「規制の必要性や程度、バランス等を十分に勘案しながら」の文言をもって義務化の無期限見送りの権限があるとは解釈できないこと、2020年の義務化を見送ることはアスベスト使用規制の遅れのように健康被害の拡大につながり、憲法25条違反となることなどを指摘し、義務化の必要性を強調した。
居住者の健康確保への具体策が欠如している現状や、政府が示した根拠資料に反して、小規模住宅でも追加的コストの費用対効果は高いこと、義務化見送りこそ光熱費の増加による長期的な消費意欲減衰につながり、景気を後退させることも、義務化を求める要因として指摘。「多くの事業者はまじめに省エネに取り組んできた。顧客にも2020年から義務化されると説明してきた。一部の変化を嫌う事業者の都合を優先し、かけた梯子を外してはならない」と訴えた。
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