東京大学大学院情報学環・越塚登研究室、同大学工学系研究科田中謙司研究室は、「不在配送ゼロ化AIプロジェクト」にて、個人向け宅配における不在配送の9割以上がAI(人工知能)とスマートメーターの活用によって削減できることを実証したと発表した。
同プロジェクトでは、各戸に設置されたスマートメーターから取得される電力データをAIが学習し、配送時刻における在宅予測に基づいて配送ルートを自動生成する「配送ルーティングエンジン」を新たに開発。このシステムを用い、9月6日~10月27日に東京大学構内にて配送試験を実施した。その結果、AIが不在先を回避するルートを配送者に示したことによる配送成功率は98%にのぼり、再配送削減によって移動距離も5%短縮されることがわかったという。また、配達の順番を決めるというプライバシーに関わる処理をAIが行うことで、これまで特定されていた“不在”というプライバシー情報が配送者に伝わることがなくなり、より個人情報保護が強化される結果が示されたという。
この取り組みは、日本全体の労働力が低下するなか、AIを活用した生産性向上に寄与するべく、東大研究室が日本データサイエンス研究所(東京都文京区)、NextDrive(東京都港区)らの協力のもと、実用化を前提に実施したもの。今後は、自治体での実証実験や物流企業との連携を行い、2022年中の実用化を目指すとする。
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