住宅設計施工、建具・家具製作の建築舎ゆわんと村(広島県呉市、佐藤陽一社長)はこのほど、牡蠣殻から抽出したカルシウムイオン水を漆喰に加えることで強度・付着度・速硬性を高めた塗り壁材「瀬戸漆喰」を開発。グループ会社のアピーネ(同)を通じて販売を開始した。
広島産牡蠣殻を高温で焼いて粉末状にし、酢酸などで溶かして生成したカルシウムイオン水を漆喰の成分――石灰、糊(ツノマタ)、スサ、砂に添加。これにより漆喰の圧縮強度・曲げ強度が約5倍に高まるという。近畿大学工学部との共同研究・実験により確かめた。
これは、カルシウムイオン水が空気中の二酸化炭素と反応して固体の炭酸カルシウムに変化する際、漆喰の内部の隙間を埋めるからだとされる。漆喰の付着度や硬化速度も上がることから、高品質の壁を簡易に施工できる左官材として製品化した。
あわせて、コストダウンの観点から専用の木小舞下地も開発。巾30㎜のスギ小幅板を10㎜目透かしで組み、あらかじめ1820×600㎜のパネルにしたもので、木摺りのように柱・間柱に打ち付けて使う。その上から製品を直に塗ることが可能だ。
工程は大きく2回で、まず下地塗りして2~3日養生。アクを出した後、中塗り・上塗りをいっぺんに行って10~15㎜厚で仕上げる。厚塗りで漆喰量が多いため、空気清浄効果が長期間持続することも期待できるとする。
製品は1袋20㎏入りで、12㎜厚で塗った場合約1㎡の施工に対応。5月から販売を開始し、2カ月で約800袋を出荷した。その後も注文が継続。同社では「3年計画で月1万袋の販売量を確保できるようにしたい」(佐藤陽一社長)としている。
定価は瀬戸漆喰が1袋3200円で、木小舞下地パネルが1枚1500円。現在、各都道府県1社をめどに販売代理店を募集している。製品の詳細はアピーネのホームページで。
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