経済産業省は12月5日、FIT制度における事業用太陽光発電の未稼働案件への新たな対応を発表した。太陽光パネルなどのコスト低減が進み、調達価格が半額以下にまで下落するなかで、認定時の高い調達価格の権利を保持したまま運転が開始されない案件が大量に滞留することで、(1)国民負担の増大への懸念、(2)新規開発・コストダウンが進まない、(3)系統容量が押さえられてしまう等の課題が顕在化している状況を解消するためのもの。
新たな対応は、2012年〜2014年度認定の事業用太陽光発電で、運転開始期限が設定されていないものを対象とする。2MW未満で、来年3月31日までに運転開始準備段階に入った(送配電事業者によって系統連系工事着工申込みが不備なく受領された)ものは、従来の調達価格を維持する。間に合わなかったものは、運転開始準備段階に入った時点の2年前の調達価格を適用する。また、新たに運転開始期限(原則として1年間)を設定し、早期の運転開始を担保する。着工申込み前であれば、調達価格を維持したまま太陽光パネルを変更できる仕組みとする。
大規模事業(2MW以上)や条例アセス対象事業については、運転開始準備の受領期限と運転開始期限の設定に一定の猶予期間を確保する。なお、開発工事に真に本格着手済みであることが公的手続によって確認できる大規模事業に限り、今回の措置を適用しないこととする。
同省ではこれまで、原則として2017年3月末までに接続契約を締結できていない案件を失効とし、2016年8月1日以降に接続契約を締結した案件には「認定から3年」の運転開始期限を設置し、期限超過分だけ調達期間(20年間)を短縮する対応をとってきた。しかし、接続契約を締結した案件でも大量の未稼働滞留が継続していることから、総合資源エネルギー調査会での審議と意見公募手続を実施し、今回の対応を決めた。
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