住宅の施工や点検、維持管理にITを活用し、業務の効率化を図りながら消費者の信頼獲得と中古流通の拡大を目指す一般社団法人住宅産業先端技術革新協議会(東京都、理事長:大堀正幸大堀商会代表取締役)が11月1日発足する。
取り組みの第1弾は、狭小空間点検ロボット「モーグル」(開発・販売:大和ハウス工業)を活用した床下点検サービス。操作から画像診断、報告書作成、見積もりまで一連の業務を行える専門人材を育成するとし、発足に先駆けて10月24日、東京都内で「床下点検技術者」の第1回講習・実技試験を行った。
同協議会によると、中古住宅の流通促進には消費者の不安を解消するインスペクションやリフォーム瑕疵保険の普及が不可欠。だが、住宅の維持管理、とくに点検については、慢性的な人手不足から専門的な技術・知識をもった人材の確保が困難になっているという。
「インスペクションやリフォーム現況調査の際には必ず床下点検が必要になるが、募集をかけても人材が集まらない」と大堀正幸理事長。「経験のない若手や女性でも操作可能なロボット点検で過酷な作業環境のイメージを払拭、入職のハードルを下げたい」と話す。
6月から実施してきたプレ認定試験と合わせ、これまでに誕生した「床下点検技術者」は25人。今後は全国で講習・試験を実施していく考えで、現在、建材流通業者らを対象に資格運営団体を募集中だ。当面、1年間に約500人の認定を目指す。
「床下点検率が上がることは、リフォーム工事の受注拡大にもつながる」(大堀理事長)という。
過去に「モーグル」を導入した企業へのアンケート調査では「リアルタイム画像により顧客とのコミュニケーションがよくなった」「会社または点検自体の信頼度が上がった」などの声が多数。「建材流通業者が受注支援として得意先の工務店やリフォーム会社にロボットを貸し出しながら資格を運営する枠組みをもって、全国にパイプを広げていきたい」(同)とする。
運営団体向けの説明会は12月17日、大和ハウス工業東京本社(東京都千代田区)で。申込締切は12月10日。問い合わせは住宅産業先端技術革新協議会(電050・7123・0073またはEメール[email protected])まで。
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