太陽光売電価格の低下リスクを回避
これまで太陽光発電は、家庭などで発電した再生可能エネルギーを電力会社が決められた価格で買い取る「FIT制度」によって、普及の後押しが進められてきた。ところがその買い取り価格が年々下がってきており、設置出力が小さい場合は赤字になる可能性もある。「太陽光発電で確実に売電益を得ようとすると大出力の太陽光パネルを搭載しなければならず、初期費用が膨らんでしまい、関心はあっても思いとどまるケースも少なくない」(柏木社長)。そのとき、「建て得」を使えば、投資リスクも少なく、太陽光発電を導入することができる。余剰電力買い取りの対象となる範囲であれば、設置する太陽光パネルの量はどれだけ増やしても初期費用は実質ゼロのまま。「建て得」利用者の平均的な設置量は8kW超で、10kW(未満)の枠いっぱいまで設置する利用者も少なくないという。
電気代も割安に
また、同サービスでは、太陽光発電が実質0円で設置できるだけでなく、毎月の電気代も大幅に削減できる。まず、前述したように太陽光発電システムで昼間に発電した電力は0円で使用できる。高断熱化で冷暖房にかかる電気代の抑制効果も享受できる。
同社の試算によると、一般的な規模の戸建て住宅であれば、ZEH仕様にすることで約200万円初期投資は高くなる。しかし、住宅ローン(建物のみ)と電気代で、一般住宅と同程度の月7万円以内の負担でZEHを手に入れることが可能だという。
柏木社長は今後ますます電力需要は増えるとみている。「個々の製品の省エネ化は進んでいるが、IoT機器などこれまで電気を使わなかったものまで普及していくことが予想される。その電力を買うのではなく、自宅で発電してまかないたいというニーズが遠からず起こってくるはず」(柏木社長)。
東京電力PG管内の場合
生活者向けの普及活動を展開
今後は、需要のさらなる深耕にも注力していく。工務店・ビルダーの間ではZEHの認知・理解は広まってきている。が、一般の生活者の認知はまだそれほど高くはない。そのため、住宅事業者と協力して一般に向けたプロモーションも行っていく。具体的には、東京・新宿にあるLIXILのショールーム東京に隣接した“健やかで快適な住まい”を体感できる施設「住まいStudio」で、ZEHのメリットを訴求する勉強会などの開催を検討している。そこで、「建て得」を使って実質追加費用なしでZEHを取得する方法も提案していく。
「災害対策や2019年問題などで太陽光発電に関して注目が集まっている。そうした追い風を生かして、営業ツールとして『建て得』を使って、業界一丸となって市場をつくっていきたい」(柏木社長)
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