北海道地震や大型台風などによる停電で、自宅で発電できる太陽光発電の価値が見直されている。そうした中、LIXIL TEPCOスマートパートナーズ(東京都江東区、柏木秀社長)が提供する「建て得バリュー」が、導入コスト実質0円で太陽光発電を設置できるサービスとして、登録工務店・ビルダーは約1600社(2018年9月末時点)を超えるなど、急速に利用実績を積み上げている。2017年秋に東京電力PG管内でサービスを開始し、関西・中部電力管内、中国・四国・九州電力管内と順次サービスエリアを拡大、今年9月から東北電力管内でもスタートした。柏木社長は「サービス開始から1周年を迎え、太陽光発電が提供する価値が、一般の人にも少しずつ広まってきている」と手ごたえを感じている。
柏木秀社長
LIXIL TEPCOスマートパートナーズは、LIXIL(東京都千代田区)と東京電力エナジーパートナー(東京都港区)が出資してつくった会社で、ZEHの普及促進を目的に事業活動を行っている。同社の「建て得バリュー」は、国が定めるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準を満たす住宅であることなどを条件に実質費用負担なしで太陽光発電システムの設置を可能にするサービスだ。また、毎月の電気料金といったランニングコストもLIXIL商品の採用数に応じて割安になる。
同社が太陽光発電システムを割賦販売し、施主の余剰売電収入を得る代わりに毎月の割賦支払に充てることで、設置にかかる費用はシステム・工事費用ともに、施主負担は実質ゼロ。施主は昼間に発電した電気を自由に使える。同社は設置後10年間、売電収入を施主から譲り受け、そこから利益を上げる仕組みだ。
利用実績が着実に伸長
サービス開始から1周年を迎え、登録工務店・ビルダーは約1600社(2018年9月末時点)。これまでに約650件(現時点)の「建て得」利用があった。「毎月、前月比2割増くらいの勢いで伸びている」(柏木社長)という。
同社の親会社であるLIXILは「スーパーウォール工法」など断熱性能の高い住宅商材を工務店・ビルダーに供給しているが、工務店・ビルダーがZEHを提案しても、コストアップがネックとなり、建材・設備の高性能化(約200万円)、太陽光発電システム(約200万円)、どちらか一方の採用にとどまるケースが多いという。このハードルを解消する武器として「建て得」を使ったZEH提案を、工務店・ビルダーと一緒に進めている。
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