戸建住宅の地盤調査・建物検査などを手掛けるジャパンホームシールド(JHS、東京都墨田区)は10月24日、今年9月6日に発生した北海道胆振東部地震における被害状況の現地調査結果を取りまとめて発表した。
同調査は、9月17日~19日と同月27日~28日にかけて、JHS地盤技術研究所研究員3名と北海道支店社員4名が実施したもの。札幌市(屯田通り、月寒東、美しが丘)、北広島市、厚真町、安平町、むかわ町の概査と、札幌市清田区(清田、里塚)の詳細調査を実施し、切土・盛土分布図を作成した。
詳細調査を行った札幌市清田区は、砂質火山灰土の堆積した土壌が広がり、台地には細長く曲がった谷筋が多く、傾斜地を宅地化する際に山側の土地を切土し、そこで発生した土を用いて谷筋を埋めた「谷埋め盛土」・「切盛土」をしていると想定される地域。今回の地震では、マンホールの抜け上がりといった液状化被害や、地盤沈下に伴う道路の変状、住宅の傾斜、擁壁の崩壊などが発生した。
同区清田・里塚地区における切土・盛土の分布と建物被災状況を比較検討したところ、清田地区では5mを超える盛土地に被害が大きかったのに対して、里塚地区では盛土が薄い地域の被害が目立ち、盛土の厚さだけで被害の状況を説明できない地域があった。
同調査による考察では、谷筋が周囲から集水しやすく、地下水位が高い傾向にあることや、この地域の盛土底付近に緩い火山灰質土の分布が推察されることから、そうした素因に降雨や地震が誘因となり、液状化の発生や水みちによる土砂の流出を引き起こし、地盤が沈下および陥没したために建物や道路等に被害を生じたと指摘した。
また、液状化危険度マップ上では、切土盛土が入り組む地形など、ピンポイントでその宅地の危険度を把握することが困難な場合があるため、建築前には宅地ごとに液状化調査などの詳細な地盤調査を検討し、多角的な目線で地盤を視た上で建築計画をたてることが重要と提案した。
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