ルームクリップ取締役の川本太郎さん
住まいやインテリアの実例写真を共有できる交流サイト「RoomClip」を運営するルームクリップ(東京都渋谷区)は、これまでのインテリアや雑貨に加え、建材や住宅設備の商品情報の取り扱いを開始した。同サイトは、建材・住宅設備分野の商品情報をさらに拡充しながら、新築やリフォームなど家づくりの際に利用できるプラットフォームを目指す考えで、今後は、地場の工務店と連携した新しいサービスの提供も検討する。
同サイトは、部屋のインテリアなどの写真をアプリやウェブで投稿・閲覧できるもので、月間利用者数は300万人を超える。ユーザーが投稿した写真は約300万枚、月間閲覧枚数は5億枚を突破したという。
今回のサービスの拡充により、部屋の写真を投稿するユーザーが、これまでのインテリアや雑貨だけでなく、使用している建材や設備の商品情報と公式サイト(メーカー)へのリンクを設置できるようにした。これにより閲覧ユーザーは、投稿された写真から気になった建材や住宅設備の商品情報を取得することができる。
同社はこのほどパナソニック・エコソリューションズ社(大阪府門真市)と連携し、建材や住宅設備の商品情報の掲載をスタート。10月にはサンワカンパニー(大阪市北区)とも連携する。さらに、その後も、大手建材メーカーと連携する方針だ。これにより、早ければ秋ごろには計3社の建材や住宅設備の商品情報が掲載されることになる。
パナ社は現在、ドアや床、壁面収納システムなど約60商品を掲載。連携3社の商品が出そろえば、ユーザーは、複数のメーカーの商品情報を取得できる。商品情報を取得するだけでなく、そのままECサイトに飛んで、商品を購入することも可能だ。そうなれば、新築やリフォームなどの家づくりの参考にしようと同サービスを活用する人も増えそうだ。運営するルームクリップは「住生活の意思決定プラットフォーム」を目指す。
月間利用者が約300万人を超えたルームクリップは約80%以上が女性ユーザーとなっている
工務店情報の掲載も検討
同社は「地場の工務店と連携した新サービス」も構想しているという。
具体的には、ユーザーの住宅を施工した工務店をタグ付けするシステムだ。ユーザーが投稿した写真に工務店の情報が記載され、公式ホームページにリンクさせる仕組みを検討する。例えば閲覧ユーザーは、自分好みの住宅が投稿されているのを見付けた際、そこにタグ付けされた工務店に直接問い合わせができる。
ユーザーには工務店探しの手間を省けるメリットがある。工務店側には受注に結び付くチャンスがあるだけでなく、ユーザーの問い合わせのきっかけになった写真を確認することで、ニーズを把握することもできる。
同社取締役の川本太郎さんは「RoomClipはエンドユーザー同士が影響を与え合い、既存顧客であるファンが潜在顧客を新たなファンに変えることができるサービス。現在はインテリアや建材、住宅設備などの商品選びの際に活用されているが、今後は地場の工務店とも連携していきたいと考えている。当社のプラットフォームを生かし、家づくりの分野にも本格参入する」と語る。
同社は昨年7月に9社を引受先とする第三者割当増資を実施。約8億円を調達した。国内最大規模の住生活の意思決定プラットフォームへと転換を目指す計画の一環で、「上場を視野に入れている」(川本さん)。
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