石粒付鋼板屋根材の輸入・販売を行うディートレーディング(東京都中央区)はこのほど、屋根の軽量化が耐震性能にどれくらい効果があるのか実証実験を実施した。実際の既存木造住宅の改修案件において既存瓦を同社の屋根材に葺き替え、ビイック(東京都文京区)の動的計測システムを使用して検証した。屋根を軽量化することで壁改修の箇所数を減らすことができるという結果を得た。
実証実験では、千葉県の築26年の在来軸組工法2階建て木造住宅の屋根を改修。瓦屋根を降ろして同社の鋼板系軽量屋根に葺き替え、改修前後の動的計測を実施したところ、2階床面の揺れ幅は0.78cmから0.44cmに減少した。建物の固有振動数が上昇し、地盤と建物の共振が減少したことから、剛性が高まり揺れにくくなったと考えられる。この結果から同社は、壁の改修を行わなくても、軽い屋根に交換することで、建物の耐震性能を上げられるとする。
同じ物件で、現行の耐震性能を満たすのに必要な耐震改修工事をエイム(埼玉県川口市)の耐震診断ソフト「木耐博士」で算出したところ、壁のみの耐震改修では17カ所の壁の改修が必要だが、屋根の軽量化と合わせて行うことで壁の改修箇所が6カ所に減らせるという計算結果を得た。同社によると、費用はどちらも同程度という。
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