4. 写真を撮る
片付けに入る前に、まず被災状況の写真を撮りましょう。罹災証明や保険の査定、税金の控除等で、何がどのように被災したのか確かな証拠になります。スマートフォンやガラケーのカメラで結構です。これらをお持ちで無い場合は、使い捨てカメラが今も売っているので購入して下さい。フラッシュ付きの高感度タイプを買って下さい。
家屋の外側を少なくとも3方向から、また、室内の被災状況も、まずは被災したそのままの様子を撮っておきましょう。床上浸水の場合は、床上何cmか、ものさしや巻き尺などを当てて、高さを一緒に記録しておくことを勧めます。家財が折り重なっていて、何が被災したか見えない場合は、起こした後で写真を撮っておきましょう。
5.領収書・レシートは何でも取っておく
マスクや安全靴に始まり、応急処置に要した費用や、工務店などの業者の修理に支払った領収書等の復旧に要した費用に関するものは何でも取っておきましょう。税金の控除で必要になる場合があります。また、大きな災害では、後から遡って公的支援制度が作られる場合があります。その時に、領収書やレシートは費用の証明になります。
住民票を被災地に移していない場合は、電気・水道・電話といった公共料金の領収書が居住の証明として必要になることがあります。捨てずにとっておきましょう。領収書を失っても、再発行できる場合が多いので、必要になったら請求元に問い合わせて下さい。
6.保険会社への連絡(※保険に加入している場合)
被災したことを連絡しておきましょう。住宅のほかに、車が被災した場合は、車両保険に入っている場合なら自動車保険の会社にも連絡を忘れずに入れてください(大きな災害の場合は、連絡を待たずに調査員が調査に来ることが多いですが)。
加入している保険会社が分からない場合は、銀行の通帳を見れば「お取引内容」に書いてあることがありますし、一般社団法人日本損害保険協会「自然災害等損保契約照会センター」に問い合わせれば、教えてくれる場合もあります。ただし、原則として、被災された方(本人)、被災された方(本人)の親族(配偶者・親・子・兄弟姉妹)からの照会が原則で、災害救助法が適用されていない地域または金融庁国民保護計画に基づく対応要請のない地域で発生した災害の場合は、当センターは利用できないので注意してください(フリーダイヤル 0120-501331)。
7.水損家財・電気製品の運び出し
被災状況の写真を撮りましたか?
写真を撮ったことを確認してから運び出しましょう。
一人ではどんなに体力があっても持ちません。家族や親族、知り合いの十分な手助けが得られない場合は、ボランティアセンターにボランティアを依頼しましょう。無料ですが、通りすがりの見慣れぬ人が「ボランティアしましょう」といきなり飛び込んで来る場合は要注意です。詐欺業者や泥棒の可能性があります。
家財を運ぶのは、乾いていれば軍手でもよいですが、釘が飛び出していた際に手を傷つけないよう皮手袋をしたほうがよいです。
吸水した畳は捨てて下さい。非常に重くなっているので、腰を痛めぬよう何人かで一緒に作業して下さい。
合板やMDFでできた家具類は一旦吸水すると変形して使えません。廃棄して下さい。無垢材であれば、乾燥させて消毒すれば使える場合が多いです。
システムキッチンは一見大丈夫な様でも、引き出しが変形して動かなくなることがほとんどです。家を修理する際に買い替えて下さい(無垢材で作られたものなら消毒して乾燥すれば使えます)。
冷蔵庫、炊飯器といった電気製品も廃棄しますが、家電リサイクル法の対象になっている製品の廃棄は、一般の災害ゴミとして取り扱うか、平時のリサイクル法の取り扱いになるか、各自治体で異なる可能性があるので事前に確認が必要です。
パソコンは、電源が入らなくてもHDDやSSDのデータは残っている可能性が高いです。災害時には無料や安価に修理を行うメーカーもあるので、お使いの機種を確認してメーカーに問い合わせて下さい。
また、エアコンやエコキュートの室外機は、きれいな水で洗浄し乾燥すればかなりの割合で動作します。メーカーでは通常こうした修理は行いませんが、街の電気屋さんだと大抵やってくれます。動作してもメーカーの保証外になりますが、当座の出費は少なくて済みます。水災の家財保険に加入している場合は補償されますので、そのお金で買い替えることを考えてもよいでしょう。
8.思い出の写真は水に濡れても捨てないで!
写真については、さまざまな専門的な復旧のノウハウがあります。水で濡れたからといって、諦めないで下さい。東日本大震災では各地のボランティアセンターなどで、被災した写真の修復作業やそのデジタル化作業が行われました。今回、そうしたボランティア活動が行われるかは不明ですが、ボランティアセンターができたら対応してもらえるか聞いてみてもよいでしょう。個人で取り組むのなら、FUJIFILMのサイトなどが参考になります。カビないうちに早めの処置が必要です。
9.床下の排水・泥出し
水損した家財を屋外に運び出したら、あるいはそれをやりながら、平行して床下の排水を行って下さい。最近の住宅はコンクリートでできたベタ基礎の上に基礎パッキングを置いてその上に家屋が建築されているものが多いです。床下の低い浸水では基礎は浸水しないで済みますが、床上浸水あるいは床下でもかなり水位が高い場合はパッキングと家屋の隙間から水が入ります。一旦入るとプールの様になり水は抜けません。水中ポンプで水を抜き取ります。「水中汚水ポンプ」等の名称で販売されています。床の何処かに点検口があるので、そこからポンプで水を吸い取ります。吸い取ったらきれいな水を入れて洗い、また吸い取るのを何度か繰り返します。点検口が十分無い場合は、フローリングを一部四角く切って新たに点検口を増設することも考えます。住宅を建築した工務店に相談して下さい。
昔からある在来木造では、畳を外した後の床板はバールで釘を抜けば外せます。外す前に番号を振って元の位置が分かる様にしておくとよいです。無垢材であれば、水洗いして消毒して十分に乾燥すれば再利用できます。床下に入った泥はできるだけ取り除いて下さい。
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