ログハウスを主力とした自然派の木の家「BESS」をFC展開するアールシーコア(東京都渋谷区)は、受注拡大と職人不足に対応すべく物流、施工、設計などにおいて効率の高い生産体制を構築、このほどその内容を公表した。
現在BESSでは、FC契約をしている24社の販社をはじめ直営店などを含め全国に44箇所の拠点をもつ。2018年~2019年にかけては4拠点が新規オープンする。同社の2018年3月期の実績は、契約棟数1077棟、契約高135億7200万円、売上高134億7900万円といずれも過去最高を記録。中期3カ年計画(2018年3月期~2020年3月期)では、売上高200億円を目指し、さらに「数年後の受注棟数を2000棟超までもっていく」(同社常務取締役・谷秋子氏)と拡大路線を突き進む。
この目標達成と、それに伴う職人不足の解消のために構築したのが、「生産革新」と銘打った5分野からなる業務改革だ。設計・購買・情報・施工・物流の5分野においてこれまでのやり方を見直し、より一層生産性の高い業務体制へと革新した。
特に現場に関わる施工・物流につては力を入れた。「施工革新」では、これまでの職人の技能を前提とした現場施工を思い切って簡略化。現場で一本一本手作業で取り付けていた屋根垂木や壁を工場でパネル化して現場に納品しクレーンで取り付けるという工業化を図った。丸太組構法において屋根・壁パネルの工業化・量産化は今までにない取り組みと言う。また、邸別の「作業手順書」も作成。70~80に及ぶ工程進捗ごとの作業手順書を全員で共有できるよう大判でわかりやすく3D表示し現場に供給した。
次に「物流革新」では、「一括納品」から「工程納品」へと納品方法を変更した。これまでは物流効率を重視し、複数の仕入れ先と一カ所の物流拠点から数回に分けながら二週間以内に集中して現場に直送する一括納品を行っていた。これを、工程の進捗に合わせてタイミングを計りながら必要な部材を必要な数だけ納品する「工程納品」に変更。また物流拠点を全国22カ所設け、物流センター経由の現場納品とした。必要なタイミングで必要な資材を納品することで作業効率の向上と、物流センター経由とすることでの現場工数の削減を図った。
これらの改革を、昨年10月より一部の直販と子会社で先行導入したところ、土台敷き~野地板張りまでの工期が10日ほど短縮されるという効果が表れた。また、ログハウスは特殊な技能が必要なため一般構法しかやらないと言っていた大工がログハウスも請け負うようになるなどログハウス事業への新規参入の実績もあがった。BESSではこれらを受け、4月からは全国の販社にも導入、生産革新の取り組みを本格稼働させた。
BESS事業本部の吉田忠利さんは、「(生産革新と言う)大きなチャレンジに対して手ごたえのある成果が得られた。マーケティングやブランディングと言ったソフト面だけでない”BESSの技術力”でハード面(生産面)も強くサポートしたい」と語る。
また、谷常務取締役は、この取り組みを「東京中心というよりは地方で成功させるビジネス」として地域の工務店に対して新規参入のチャンスでもあることも示唆した。
今後2~3年で、仕上げ工事などもプレカット、パネル・ユニット化してさらなる工業化を進めていく。また、着工から引き渡しまでの工期を段階的に短縮し、最終的には80日を目指すという。
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