6月30日午前8時16分、長野県中部で強い地震があり、同県松本市で震度5強を観測したほか、中部地方を中心に関東から近畿地方の一部にかけて震度4~1を観測した。
気象庁によると震源の深さは4㎞、地震の規模を示すマグニチュード(M)は5・4(いずれも暫定値)。震源地は地震発生確率が高い「牛伏寺(ごふくじ)断層」の近くだが「真上ではなくわずかにズレた位置で、関連性はわからない」(地震津波監視課)という。震源地付近では前日夜から震度3~1の地震が続き、地震活動が活発化していた。
牛伏寺断層(松本市-塩尻市、長さ17㎞)は断層面が水平方向にズレる「横ずれ断層」。以前から大地震の発生確率が高いとされ、政府の地震調査委員会は同断層を含む糸魚川-静岡構造線断層帯でM8程度の地震が30年以内に起きる確率を14%と推定していた。また6月9日には、東日本大震災の影響で発生確率が高まった可能性がある、とも発表していた。
今回の地震により、松本市内では落下物や転倒によるけが人や、住宅の瓦屋根の落下、ブロック塀の倒壊といった被害が発生。また家具が転び食器棚からものが飛び出すといった被害も相次ぎ、工務店はOB宅の点検や応急措置に追われた。
ある工務店経営者は「いきなりドンと下から突き上げるような揺れで、時間にすれば10秒くらい。典型的な直下型地震だと思う」と指摘。「被害の大きな地域は市街地中心部のほか笹部、寿、並柳、南松本など牛伏寺断層の付近なので、無関係ではないと思う。逆にいえば、このくらいの地震の規模で動きがおさまってくれればいい」と話す。
また別の工務店社長は「牛伏寺断層にそって揺れたのではないか。これで動きがおさまるのか、逆に活発になるのかわからず、それだけに怖い。東日本大震災後に既存住宅の耐震診断の依頼が増えたが、今回の地震により、またそうした流れが強まる可能性は高い」とする。
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