性能とデザインの両立を支援
「設計サポートセンター」を充実
野澤 「LW」のような開口部を大きく魅力的にできる製品を使うと、断熱性能だけでなく耐震性能の問題も出てくる。
デザインを追求するということは、性能よりもデザインを優先させるということではない。デザインと性能を高いレベルで両立させるということだと考えている。
あまり知られていないが、当社には「設計サポートセンター」があり、専門のスタッフが約50人在籍し、そこでデザイン性を担保しながら高いレベルの断熱性能や耐震性能を実現できるよう、ビルダー様のサポートを行っている。建材設備を販売するだけでなく、それを活用してより良い空間・住宅づくりのためのサービスをトータルでご提供していくことが、総合住生活企業である我々の役割だと考えている。
三浦 ユーザーには見えにくい性能の価値を伝えることは、日本の住宅の質を高めていくうえでもとても重要だ。つくり手に対して、ユーザーへの伝え方のサポートをすることも必要だ。日本の住宅のレベルを引き上げることにもつながる。
野澤 耐震等級1と等級3の違いをユーザーに伝え、納得していただいて必要な対価をお支払いいただく。こうした説明と納得のためのサポートを、一層充実していきたい。
出前授業等で室温の重要性アピール
「THINK HEAT」プロジェクト
関塚 当社は現在、“健康と省エネ”を両立するための「THINK HEAT」と呼ぶプロジェクトを推進している。
例えば、夏場に熱中症で病院に運ばれる人は2万人もいる。冬場にヒートショックで亡くなる人も1万7千人いるとされる。住まいと健康には深い関係があるが、そのことはまだまだユーザーに伝わっていない。こうした温度と健康の問題を共有する機会をつくっていきたいと思っている。
野澤 一環として窓に関する学校への出前授業をやっている。窓は家に必ずあるが、その割にユーザーの関心は低い。だが出前授業をはじめとする地道な啓発によって窓の役割や機能を認識してもらうことで、窓への関心が高まり、ユーザーが家を建てる際に窓も選ぶようになると考えている。
羽賀 窓にはいろいろな役割・機能がある。風景を楽しむ。風を取り入れる。こうしたことは豊かさや、さらには健康や心地よさとも直結し、住宅の中でかなり大きなウエートを占めている。その価値をデザインや性能を中心に再構築するトータルなアプローチを始めているところだ。
製品を6つの「Design Style」に
簡単にトータルコーディネート
三浦 住生活に対してトータルにアプローチできるのが、住生活総合企業としてのLIXILの強みを生かせる部分だろう。
羽賀 LIXILは「Link to Good Living」を掲げ、優れた製品とサービスで豊かな住生活に貢献することを企業姿勢として打ち出している。今回スタートした「デザインスタイル」という提案もそのひとつの取り組みだ。
LIXILはいろいろな製品を提案している。「TOSTEM」などカテゴリーブランドを立て、それぞれを縦軸で専門性を究める一方で、それぞれにデザインという横軸を通すことで、専門性とグループとしての総合力を両立することを目指している。
三浦 平たく言えば、LIXILグループの製品を使えば、簡単にトータルコーディネートできるということか。
羽賀 「デザインスタイル」の基本はそのとおり。外構、開口部、水まわり、室内空間の各カテゴリーのデザイナーを集め、カテゴリーを超えたチームで「デザインスタイル」の構築に取り組んでいる。
まず、「Industrial(インダストリアル)」「Natural&Conscious(ナチュラル&コンシャス)といった6つのスタイルを、それにふさわしい基本色とともに、各カテゴリー横断で設定した。
それぞれの部門で新製品を出す際に、6つのスタイルのどこを狙う製品かを決め、それに即したデザインとする。
ビルダー様からすると、6つのスタイルを選び、そのスタイルにラインナップされた製品の中から建材設備をセレクトしていくだけで、簡単に希望するスタイルどおりにトータルコーディネートできる。
三浦 最近よく話しているのは、「注文住宅という言葉をやめて提案住宅にしませんか」ということ。注文住宅という言葉を使うからユーザーも注文したくなるし、しなければという義務感にかられる。そのためにはユーザーがショールームに行って色決めをしたりして選ばなければならず、お互いに負担が大きい。「この中から選べば間違いない」って中からセレクトしてもらったほうが、お互い時間の短縮になるし、デザイン的にも外れがないはずだ。
「LIXIL Design Style」のウェブページでは、スタイルごとに建材・設備選びができるようになっている
羽賀 ウェブサイトを4月にオープンし、6つのスタイルから商品が選べるようにしている。好きなスタイルを選ぶと、スタイル別に登録された製品がリストから選択できるようになっている。ユーザーはもちろん、ビルダー様が完成度の高い空間を手間をかけずにつくることができるサービスとなっている。
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