エコロジー建材の輸入・販売を手がけるイケダコーポレーション(大阪市福島区)は6月8日、地域木材の活用と持続可能な省エネ・木造建築をテーマとしたセミナーを都内で開催した。ミュンヘン工科大学建築工学部木造建築学科教授で、ドイツ建築大賞2017を受賞した建築家ヘルマン・カウフマン氏を講師に迎えて開催したもので、約380人が参加した。
カウフマン氏は、築300年になるドイツの農家邸宅や現代の木造建築の写真を示しながら、ドイツやオーストリアにおいて伝統的な建築の要素が現代建築にも受け継がれていることや、大工や工務店がそうした移り変わりに適応して近代化しつつ、しっかりと営みを続けていることを説明。
その上で、現代の木造建築にとって「プレハブ工法」の活用が重要であることを強調。「日本ではプレハブ工法が主に工業的な住宅に使われると聞いたが、ドイツでは大工の職人技術があって初めて実現するものと思われている。木造の未来に大きく貢献するもの」との考えを示し、自身のプロジェクトを含めた数多くの事例を紹介した。
講演の終盤には、母国オーストリアの氷河に対面した山地で新築した山小屋の事例を挙げ、厳しい環境下においても、プレハブ工法による短工期・高精度のメリットを生かした木造建築が実現することを説明した。また、その氷河の絶景が温暖化の影響から「20年後には存在しないかもしれない」と危惧しつつ、山小屋の立地が自身の手がけた建築の中で最も美しい場所だったと振り返った。
カウフマン氏のセミナーに先立ち、挨拶に立った同社の加藤俊和常務取締役は、「ヨーロッパでは木造の建築が急増しており、『ウッド・ルネッサンス(wooden renaissance)』と呼ばれているようだが、先進国で最大級の森林資源を持つ日本こそ、木造エコロジー建築を積極的に進めるべきではないか」と今回のセミナー開催への思いを語った。
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