新建新聞社/新建ハウジングが6月12日に、全国各地域で奮闘する工務店経営者6氏を招いて東京都内で開く「工務店カンファレンス2018」の登壇者インタビュー第三弾。
小林創建(長野県松本市)
1928年4月創業。社員30人。老舗工務店として、伝統の中にも新しい挑戦的な住宅商品開発が特徴。年間の完工30棟。小林稔政社長は今年、JBN・全国工務店協会副会長に就任。
小林創建はこの4月で創業90周年を迎えた。長野県の中央に位置する松本平。その限られた住宅市場でハウスメーカーや有力工務店と凌ぎを削っている。「なぜ生き残ることができているのか」をこの1年考えてきた。春からはJBN・全国工務店協会の副会長に就任し、「地域工務店の生き残り」に全国の会員工務店とともに挑戦していく立場となった。自社の経営においても原点に立ち戻り、その方向性について「工務店カンファレンス」の中でお話ししてみたいと考えている。
伝統的で新しい家づくりを追求
10年前のこと。家づくりの経験のある主婦を7回にわたって集め、ヒアリングした成果を商品開発(規格住宅)につなげた。結果は完成見学会初回で100組もの来場者を集める反響。にもかかわらずさっぱり契約につながらなかった。コンセプトをつくることだけで、販売する営業マンと考え方の共有ができていなかった。
その時の家づくり(南欧プロバンス風住宅)は、それまでの小林創建の家づくりとはかけ離れたイメージだったため社内の反応は「若社長が何かやっている」程度の受け止めようだった。
こうした経験から、社内スタッフが積極的に学び自由に提案できるよう体制を大転換。成果として、小林創建の伝統イメージに沿ったテイストで、かつ地域で望まれるスタイルとしてパッシブデザインを採用した『和モダン』の形を生み出した。
現在でも、アウトドア派のライフスタイルを重視した住宅商品提供など新しい挑戦を続けながら、伝統と基本デザインを維持し、「品質が高い」「しっかりした技術がある」という地元での評価をベースに年間30棟の実績を維持している。
安心のアフターから大規模修繕へ
こうしたことを裏付けているのがアフターメンテナンス。定期点検や定期訪問は当たり前だが、それ以外にアフターサービスの受け入れ体制に力を入れている。
具体的には、社内SNS『トークノート』を活用。この中でグループをつくりお客様のメンテナンスのデータを集積。パートさんがお客様の相談を電話で受け付けると、専任の担当者が過去のデータを参考にすぐに対応する。アフターの安心感が、オーナーからそのご家族の紹介につながっている。
さらに、新築住宅では、これまでお客様との信頼関係に頼ってきた品質強化を図るため、4月から全棟を対象とする「外部監査制度」を開始した。標準図面や基本仕様に基づいたチェックが行われ、品質にばらつきがないことの裏付けをとることができるようになった。
このほか、地域工務店の新しい「生き残り策」として中古住宅流通市場への積極的な参入を図る。空き家をつくらないための取り組みや営業面のノウハウ開発を加速。昭和の住まい(空き家)で味のあるものを活用して「民泊」にもチャレンジする。「工務店カンファレンス」で詳細をお話したい。
工務店経営カンファレンス2018
<< 詳細・申し込みはこちらから >>
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。