中小企業庁は4月20日、2018年版の「中小企業白書」と「小規模企業白書」をとりまとめ、同日の閣議決定を受けて公表した。
「中小企業白書」は、アンケート調査結果に併せて、生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者の事例を昨年の倍以上となる113件紹介しており、生産性向上に向けたヒントを提供することを目指す「実践的な白書」としてまとめられた。
第1部では、最近の中小企業の動向について、中小企業の経常利益が過去最高水準にあり、景況感も改善傾向であること等を示した。また、中小企業の労働生産性や経営の在り方等について分析した。第2部では、人手不足の現状を分析した上で、業務プロセス見直しや人材活用、IT利活用、設備投資、M&Aといった中小企業の生産性向上に向けた取り組みについて分析。
具体的には、業務・人材面において、自社の経営課題を見つめ直すとともに「既存の業務プロセスを見直す」ことを示し、限られた人手で業務を回すための人材活用面での工夫として「多能工化・兼任化」を中心に紹介した。
IT利活用では、コストと効果を具体的に示した事例を豊富に紹介するとともに、日頃の相談相手である地元のITベンダー等がIT導入を働きかけていく必要性等を指摘。さらに、業務領域間のデータ連携(財務会計と給与管理間のデータ連携等)や企業間のデータ連携を行っていく重要性を確認した。
中小企業の設備投資については、省力化投資等の生産性向上に繋がる投資をより一層促進していく必要性について示した。そのほか、事業承継などを背景に増加傾向にある中小企業のM&Aの動きについて、買い手側の中小企業にとっても、相手先の企業との間でシナジーを発揮することで生産性を高める契機となっていることを分析した。
「小規模企業白書」の第1部では、最近の小規模事業者の動向について、経常利益が回復基調にあるなど、改善傾向にある小規模事業者の景況等を示した。第2部では、小規模事業者の生産性向上に向けた取り組みについて分析。
具体的には、人手不足を背景として、経営者に業務が集中するなか、未だに紙ベースでの処理が多い間接業務のIT化を進めること等を通じて、経営者が付加価値向上に資する業務に集中する必要性等について分析した。また、小規模事業者では、ちょっとした工夫によって大幅な売上向上につながること等を取り組み事例で紹介した。
第3部では、地域課題に対応しながら成長する小規模事業者や、いわゆるフリーランス等の「新しい働き方」としての小規模事業者について事例を取り上げたほか、小規模事業者に対する支援機関の伴走型支援や支援機関間の連携も事例として紹介した。
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