タマホーム(東京都港区)は4月1日から「子ども同伴勤務制度」を本社と全国の支店など238カ所に本格導入した。
社員の多様な働き方を実現するために制度整備を進める同社では、育児中の社員が仕事と育児の両立をよりしやすくするための制度に着目。育児休業終了となる満2歳から小学校卒業までの子や孫をもつ社員を対象に、学校の長期休暇や特別休暇で預け先を確保できないなどの緊急時に利用できる「子ども同伴勤務制度」を導入した。
同社では、この他にもハローベイビー休暇、家族の誕生日や子どもの運動会などにも利用できるアニバーサリー休暇、一時間単位で有休が取れる時間単位有休制度、オフィスのフリーアドレス化など、変化する社員のライフスタイルに働き方が対応できるよう、さまざまな制度や仕組みを取り入れてきた。制度導入もスピーディーだ。今回の子ども同伴勤務制度も昨年12月から一部の支店で実証実験を行い、今年4月には全社に本格導入した。その早さの理由として、経営企画部部長の賀来義明さんは、「”まずはやってみよう”というトライアル・アンド・エラーの精神が企業風土として根付いている」と話す。「ダメなら見直せば良い。必要なのは、変化に対応していく勇気」と賀来さんは力強く語る。
「みんなで育てたらよかばい」
子ども同伴勤務制度は、「もともと各支店には来場客のためのキッズスペースが備えられており、設備等のハード面でも、迎える側の心理等のソフト面でも受け入れ体制が整っていたので導入しやすかった」(賀来さん)、としながらもその源泉にあるのは、同社にある「子どもをみんなで育てよう」という「長屋文化」だという。
「九州発祥の当社には『みんなで育てたらよかばい』という長屋文化にあるような、そんな空気が会社全体に浸透しています。困っている人がいるならみんなで助けようよ、という気持ちが社員にあふれているのです」
誰もが使いやすい制度
また、子育て、育児に関する制度というと、どうしても女性社員のための制度として捉えられがちだが、同社では決してそのように考えてはいない。今回の子ども同伴出勤制度も、子の親だけではなく孫にまで対象範囲を広げている。祖父が孫を連れてきてもいいわけだ。
働きやすい職場というと女性がクローズアップされがちだが、多様な働き方を実現するための制度は、女性のみに限られた制度ではない。これから介護が必要になる社員も増えてくるだろう。そこに男女の差はないはずだ。
今後も誰もが使いやすい制度を整備していくという同社。「制度は使われなければ意味がない。それには誰もが使いやすい制度整備が必要で、あまりに石橋をたたき過ぎた縛りのある制度では本末転倒」と、必要以上に利用者の条件を細かく定めたり管理監督体制の厳格化を求めてはいない。賀来さんは「裏を返すとそれが課題でもある」と本音を明かしながらも、業務改善につながるのであれば恐れずに即対応していくという姿勢は崩さない。
日頃のコミュニケーションが大切
賀来さんは、「これらの制度がスムーズに運用されているのは、日頃から十分なコミュニケーションがとられているからこそ」とも言う。社員同士のコミュニケーションがしっかりとれているからこそ、お互いの事情を察しあい、助けよう、お互い様で協力しようという気持ちが生まれる。制度の円滑な運用は、円滑なコミュニケーションがあるからこそ、また、円滑なコミュニケーションが図られているからこそ、制度が生かされるという好循環がそこにはある。
現在テレワークについても実証実験中で本社勤務の子どもを持つ女性社員2人がテレワークを行っているという。テレワークについても、「まずはやってみよう」の企業精神で早期の導入となりそうだ。
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