LIFULL(東京都千代田区)は4月13日、社内シンクタンク「LIFULL HOME’S総研」による研究報告書「住宅幸福論 Episode1 住まいの幸福を疑え」を発行した。
同書は、価値観の多様化が徹底するポスト平成時代を展望しつつ、幸福な住まいのあり方を考えることをテーマとしたもの。全国1万8000人を対象に実施したリサーチ結果と、外部変数の影響を取り除いた傾向スコア分析によって、同社独自の「幸福な住まいのためのヒント」を提示している。
同書の発行にあたって開催した記者説明会で、「LIFULL HOME’S総研」の島原万丈所長は、分析の前提となる住まいを取り巻く環境変化として「人口減少と不動産」「家族の変化」「働き方の変化」という3つの要素を説明。これらが、昭和時代に築かれた住まいの在り方と社会構造を解体し、ポスト平成の展望に大きな影響を与えていることを指摘した。
島原所長は、今回実施したリサーチ結果の基本分析として、「世帯年収が高い」「結婚している」「持ち家」「スペックの高い家」といった個人属性・物件属性が、「理論上」の幸福度を高める要因となっていることを説明し、それらの知見を「幸福学の常識」と位置づけた上で、改めて、交絡要因となる世帯年収とそれに相関する住宅スペックの影響を取り除いた分析結果を示した。
傾向スコア分析の結果として、「持ち家と賃貸で、永住志向以外はほとんど差がない」、「持ち家/賃貸、新築/中古、マンション/戸建てのあいだに、ごくわずかな差はあるが、本当はどんな家に住もうが幸福度は大差ない」、「街に対する満足度の高さがマンションの強み」、「建物に対する満足度の低さが賃貸の弱み」といった従来と異なる新鮮な知見を示し、「住まいの幸福とは『与えられるもの』か、『自分で掴むもの』か」と核心に迫った。
同書では、こうした分析結果を踏まえ、(1)住んでいる街を好きになる、(2)家族との交流や趣味に没頭する時間的ゆとりをつくる、(3)賃貸住宅の場合は、快適性の向上が大切、(4)建物の経年変化をポジティブに受け止める、という4点の「暮らし方」が「幸福な住まいのためのヒント」となる考えを示している。
今回の研究報告書は、「住宅幸福論」の第1弾。来年にも「エピソード2」が発行される予定。「エピソード1」の詳細はこちら。
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