つくば市の南端、宅地開発が進むつくばエキスプレス沿線に地元工務店4社と材木店2社による住宅展示場がオープンした。展示場には、コンセプトの全く違う住宅が4棟立ち並ぶ。豊富な建築実績をもつ工務店と老舗材木店の6社がそれぞれの個性を発揮して地域密着企業だからこそできる住宅・暮らし方提案を強みにタッグを組んだ。
きっかけは集客
メンバーは、東洋ハウジング(千葉県鎌ケ谷市)、住工房スタイル(千葉県印旛郡)、丸和建設(茨城県桜川市)、にのみや工務店(茨城県桜川市)と、地元材木店の竹屋(茨城県龍ヶ崎市)、丸川木材(茨城県桜川市)の6社。きっかけは2年前、集客に対する危機感を募らせた丸和建設の代表取締役社長、川那子弘己さんが、丸川木材に声をかけたことだった。多くの工務店を顧客に持つ流通店に仲立ちしてもらうことで参画する工務店をスムーズに募集でき、「ちばらきSTYLE」と銘打ったつくば周辺を商圏とした地元企業による合同家づくりプロジェクトがスタートした。他県で同様の取り組みを行っている工務店や展示場への視察、月3~4回の会合をもちながら共同展示場のオープンに向け取り組んだ。
ライバルは工務店ではない
工務店はライバル関係にあると思いがちだが、そうではない。ハウスメーカーに対抗するには、工務店同士が同じ家づくりの仲間、共同体として一致協力することが必要だ。現に丸和建設とにのみや工務店は歩いて2~3分の距離にある。「やっかみがあったらうまくはいかない。互いを尊重しあいながら何でも話せて一緒に切磋琢磨していける仲間が手を組むことで3倍の効果が出る」と川那子社長は話す。今やライバルは工務店同士ではない。
プロジェクトは、竹屋と丸川木材の2社が事務局を担い、工務店をまとめてきた。これもうまく運営できている秘訣だ。工務店だけでは、それぞれの信条やこだわりが時に衝突してしまうことがある。その点、建材店が中心になってまとめ上げてくれたことでスムーズな企画、運営ができたという。
3月24日のオープン初日には76組が訪れた。地元タウン紙への広告も、8万枚のチラシも共同運営だからこそできたこと。目標の100組には届かなかったが来場者のうち新規客が半分以上と予想を超える結果となり、一定の目的は達成した。実際に丸和建設では単独の展示場も運営しているが、1社のみではとても70組を超える集客はできないという。
メリットは、集客だけではない。互いの営業スタイルや施工方法を見て勉強しあえることも利点。1社ではイベントも集客方法もマンネリ化してしまう。その点、四社四様のスタイルを参考にすることで新たな視点が生まれる。
継続できるかどうかがカギ
今後の成功のカギは、「継続できるかどうか」にある。「1回で終わってしまったら何の意味もない。継続してこそ、成功といえる」と同プロジェクトは常に先を見据える。理想は、プロジェクトメンバーをもう2社増やして8社ほどで運営すること。年内にまた土地を取得し着工、1年間で販売する。このサイクルを繰り返しながら軌道に乗せたいと意気込む。
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