木材・プラスチック再生複合材(WPRC)の環境仕様に関する国際標準が日本の提案により発行された。今後、資源循環型社会に向け、環境性能に優れた日本製品の国際市場における評価や普及の向上が期待できる。
国際標準の発行の経緯および内容
規格発行に向けWPRCメーカー、大学、試験・研究機関などをメンバーとする国内委員会を設置。JISをベースに原案を作成し、2015年5月に国際標準化機構/プラスチック/製品(ISO/TC61/SC11)に提案。その後、各国の専門家などとの意見交換を経て2018年3月に国際標準として発行された。
国際標準(ISO20819:木材・プラスチック再生複合材-環境仕様)とされた主要な内容は、WPRCの定義・原料のリサイクル材等の種類や配合割合・WPRCに必要な基本特性など。
具体的には、WPRCの原料は、リサイクル材などを40%以上の質量割合にすることが必要と定義。ホルムアルデヒド(揮発性物質)放散量や有害物質溶出量の安全性を規定し、受け入れ時の品質証明のためバージン材料またはリサイクル材料の確認を規定した。
WPRCは、使用後の製品を回収して再び原料として使用できる特徴を持つ。建築物を解体することで発生する廃材などの木質原料と容器や包装などのリサイクル材などのプラスチック原料を混ぜ合わせることで製造する。工法としては押出成形になるため、複雑な断面でも用途に応じて製造することができ、商業・公共施設の歩行者デッキや建築壁面用ルーパーなど、さまざまな分野での利用が見込める。
WPRCの用途例(デッキ、ルーバー)
(出所:(一社)日本建材・住宅設備産業協会 木材・プラスチック再生複合材普及部会ホームページ)
国際標準の発行がもたらす効果
規格の発行により、経済産業省では、環境性能に強みを持つ日本製品の国際市場での評価や普及が期待できると見ている。また、国連SDGs目標12(持続可能な消費と生産:再利用を通して廃棄物の発生を大幅に削減する)に対する効果も期待できる。
質の高いグリーン建材・設備製品は、ベトナムやインドネシアなどのASEAN諸国への市場拡大が期待でき、日本が主導的な役割を持つことが望まれる。今後、省エネ効果を持つ高日射反射率塗装や節水型の温水洗浄便座などの国際標準の開発につなげていく。
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