コストが重視される賃貸住宅でも高性能化が少しずつ進んでいる。日高見工務店(岩手県北上市)は、盛岡市にQ1.0集合住宅「Primary南仙北」を完成させた。断熱性能を示す熱損失係数Q値は0.75W/m2K。Q1.0集合住宅は、岩手で初という。
同社は「Dotプロジェクト」というQ値1.0以下の住宅を普及させようという団体で活動しており、日高見工務店は、Q値1.0以下の施工実績を多く持つ。今回のプロジェクトは、ヨーロッパの賃貸住宅事情を見聞したオーナーが、「日本でもヨーロッパと同様に、断熱性能が高くて温熱環境の整った賃貸住宅が、長期にわたって価値を持つ時代が来る。特に寒さの厳しい岩手では」と確信し、事業を計画したという。
完成は2018年1月。設備機器を試運転し建物が暖まった状態で入居者を募集したところ、最初の土日で全戸入居者が決まったという。
建物は長屋タイプの1LDK全6戸。1戸の専有面積が1階37.12m2、2階48.99m2。外皮性能UA値は0.12~0.17。暖房・給湯・照明・換気など建物のエネルギー削減率は36~43%減。環境省の「賃貸住宅における省CO2促進モデル事業」の補助金を活用。全戸「建築物省エネルギー性能表示制度BELS」で5つ星評価を受けている。
壁の断熱は高性能グラスウール210mm、天井はロックウール500mm、トリプルガラス樹脂サッシと熱交換換気、LED照明、ヒートポンプを採用。省エネ仕様とオール電化により、居住者の光熱費は一般の集合住宅の約半分に抑制。屋根には24kWの太陽光発電を設置している。発電量は年間の全戸の消費エネルギーとほぼ同量になる計算で、建物としてほぼゼロエネルギーになっているという。売電はオーナーの事業収入になる。また、各戸にEVコンセントを設置している。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。