積水化学工業(大阪市北区)住宅カンパニーの調査研究機関である住環境研究所(東京都千代田区)は3月20日、同研究所内の「生涯健康脳住宅研究所」で昨年5月から実施してきた、高齢者の自宅や介護現場におけるコミュニケーションロボットの実証実験の成果を発表した。
同実験では、ヴイストン(大阪市西淀川区)の普及型社会的対話ロボット「Sota(ソータ)」を利用してNTTデータ(東京都江東区)が開発した高齢者向けコミュニケーションロボットを、住環境研究所の客の自宅や実際の暮らし・介護の場に導入。「話食動眠」の会話を促進するコミュニケーションの内容と、会話の促進が生活状況の向上に効果があるかを検証したほか、生活上の効果として話食動眠に基づく食欲、運動(活動量)、睡眠、意欲を評価した。
その結果、同ロボットが高齢者に受容され、会話促進による生活改善などの一定の成果が得られることが分かった。具体的には、コミュニケーションロボット利用の多い(=ロボットの被験者に対する顔認識率が高い)人は、日中の活動量比率(日中の活動量/夜間の活動量の比率)が高く、睡眠の主観的深さの改善が見られた。
実験後の生活変化に対する被験者の自由回答には「以前は昼間、TVを見ているとうたた寝してしまったが、ロボットが来てからは1時間に1回、相手をしているので寝ることがない。そのため、夜の寝つきが良くなった」などのコメントがあり、昼間ロボットとの会話により生活リズムが整うと考えられる場合もみられた。
また、コミュニケーションロボットの外見や会話の愛らしさが、高齢者に対する存在感や親近感を引き起こし、ロボットの受容性を高めることが分かった。要望された追加の機能としては、見守り、生活状況に合わせた挨拶、家電制御や防犯機能などがあった。
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