施主の太陽光発電負担実質0円※でZEH化可能に
工務店によるZEH(ゼロエネルギー住宅)建設がなかなか進まない。その要因の一つが太陽光発電の設置や建材の高性能化にかかる初期費用だ。太陽光発電の買い取り価格が年々下がっていることもあり、太陽光発電の導入に施主がメリットを感じにくくなっている。そんななか、一般住宅と比較してお施主様の月次の費用負担差額がほとんど変わらずにZEHを提案できるようにするのが、LIXIL TEPCO スマートパートナーズ(東京都江東区、柏木秀社長)が提供する「建て得バリュー」だ。昨年秋に東京電力管内の一部でサービス開始し、4月より、関西・中部電力管内でもスタート。7月より中国・四国・九州電力管内でもスタートする。同サービスを提案してZEHを受注する事例も増えているという。柏木社長は「ZEH標準時代に、差別化提案として活用してほしい」と話す。
国の2017 年度予算によるZEH支援事業で補助金の交付決定件数は7693 件。うち、ハウスメーカーによるものが6511件と大半を占め、工務店によるものは1182件と全体の2割にも満たない。一部の先進的な工務店はハウスメーカーを上回る実績を上げているが、住宅の供給戸数の比率から考えると、全体としては工務店のZEHへの取り組みはまだまだ低調だ。
国が行ったアンケート調査によると、ZEHへの取り組みが未達になった一番の理由は「社内体制の不備」だが、それに次ぐ理由として「顧客の予算」、「顧客の理解を得られなかった」の2つが挙げられており、追加費用に関係するハードルが高いことが浮かび上がっている。
太陽光発電を負担なしで提供
LIXIL TEPCO スマートパートナーズの「建て得バリュー」は、国が定めるZEH基準を満たす住宅であることなどを条件に追加の費用負担なしに太陽光発電システムの設置などを可能にする新しいサービスだ(図1)。
※同社が余剰売電収入を得る代わりに、建て主の太陽光発電システムの割賦支払い負担を実質的にゼロにする。契約期間は10年間
LIXIL TEPCO スマートパートナーズは、LIXIL と東京電力エナジーパートナーが出資してつくった会社で、ZEHの普及促進を目的にしている。
LIXIL は「スーパーウォール工法」など断熱性能の高い住宅商材を工務店・ビルダーに供給しているが、工務店・ビルダーがZEHを提案しても、コストアップがネックとなり、断熱性能強化+ 設備性能強化(200万円)、太陽光発電システム(200万円)のどちらか一方の採用にとどまるケースが多いという。このハードルを解消する武器として「建て得」を使ってほしいと柏木社長は強調し、「すでに外皮がZEH基準に適合している工務店が、太陽光発電システムまで予算がない施主に提案する際に差別化になる」と話す。
ZEHを標準採用として、初期費用が負担できない施主には「建て得」を提案して、すでにZEHを6~7棟受注している事業者もいるという。
電気代も割安に
同サービスは、太陽光発電が実質0円で設置できるだけでなく、毎月の電気代も大幅に削減できる。まず、高断熱化による効果で冷暖房にかかる電気代も抑制できる。また、太陽光発電システムで発電した電力は0円で使用可能。サービス利用者向けの特別な割引料金で通常の電気も利用できる。さらにLIXIL 商品の採用数に応じて、電気料金の割引が適用される(図2)。
同社の試算によると、一般的な規模の戸建て住宅であれば、住宅ローン(建物のみ)と電気代で月7万円以内の支払いでZEHを手に入れることが可能だという(図3)。そのうえ、国の補助金(2018年度のZEH補助金は70万円)も利用できる。
登録で他社との差別化に
同サービスを利用するにはビルダー・工務店の登録が必要。施主に提案する際に使うカタログなど営業に必要なツールも充実している。
「ZEH提案については、ZEH登録ビルダーでも温度差がある。また同じ工務店の社内でも社員間で温度差がある場合も少なくない。ZEH提案に真剣に取り組みたいけど、壁にぶつかっている会社にこのサービスを知ってもらいたい」(柏木社長)
LIXIL は、同サービスをZEHの普及を応援、加速させる事業として位置づけて、ほかのZEH関連の事業と合わせて積極的に取り組んでいく方針だ。
「ZEHが普通の家になる時代に、このサービスを利用すれば工務店のZEH販売のハードルが下がり、受注しやすくなるだけでなく、住宅本体の建築費用が上げられ、売り上げ増にもつながる。つまり儲かる。そして、それがコストパフォーマンスの良い、高性能な住宅の提供につながり、施主にも喜んでもらえる。将来的には全ZEHビルダーのサービス登録を目指している」(同)
■株式会社 LIXIL TEPCO スマートパートナーズ■
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