積水ハウス(大阪市北区)は3月6日、昨年6月に発生した東京都品川区西五反田の分譲マンション用地取引事故に関する経緯概要等を報告した。社外役員による調査対策委員会からの調査報告書の受領を受けて、再発防止に向けた取り組み等を記載したもの。
同報告では、当該土地建物の所有者を称する人物およびその知人の仲介者が経営する会社との3者間での取引から、所有者の詐称が判明し、実質的被害額が約55.5億円にのぼる事故に至った経緯を説明。その上で、被害を防止できなかった原因として、「稟議審査時にリスク管理の側面から内容をもっと吟味し、追加調査を指示する等の対応が必要であった」こと、また「リスク情報の分析と共有を現場と本社関係部署が一体となって実施する必要があった」ことを報告した。
調査対策委員会からの意見及び対策提言では、関係各部の不完全な業務運営、取締役会および監査役会の監督監査の責任、社長の経営責任などを踏まえ、再発防止に向けて「トップのリーダーシップのもと、プロジェクトチームを設置し、人事及び制度の根本的な見直しを進める必要」があると指摘を受けたことを明らかにした。
今後の課題としては(1)重要な投資案件に関し、その審議や検証活動を機動的に行うための経営会議を設置するほか、必要に応じて、組織改善の各課題に関するプロジェクトチームを設置する、(2)部署間の連携を徹底して、リスク管理上の情報共有を実現する、(3)稟議制度の運用等を根本的に改善する、という3点に取り組むことを報告した。また、昨年実施済みである取締役の減俸処分と人事措置についても言及した。
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