YKKグループ(東京都千代田区)は3月1日、2018年度の経営方針説明会を本社で開催した。2017年度の連結業績は、売上高が前年度比6%増の7535億円、営業利益が同2%減の589億円、純利益が同11%減の401億円となる見込み。2018年度の連結収支計画は、売上高が同5%増の7944億円、営業利益が同11%増の652億円、純利益が同25%増の504億円とした。
AP事業の2017年度業績は、売上高が同2%増の4210億円、営業利益が同24%減の212億円となる見込み。2018年度の収支計画は、売上高が同6%増の4480億円、営業利益が同25%増の265億円とした。
YKK APの堀秀充社長は、2017年度の取り組みを振り返り、樹脂窓の拡張と新たな樹脂アルミ複合窓の発売による「樹脂窓化」「窓の高断熱化」を成果の一つとして言及。同社窓製品の販売数量に占める樹脂窓の割合は2012年の7%から推定21%まで拡大しており、引き続き2018年に25%、2020年に40%まで拡大することを目標として掲げた。
また、「建築とエクステリアの一体設計」提案の拡大と外構を中心としたエクステリア商品の更なる投入、断熱・防災を軸とした商品の販売による開口部リフォーム需要の創造の取り組みについて「手ごたえが出てきた」と語った。これらに加え、リノベーション市場での需要創造による成長戦略の推進、集合住宅の窓の高断熱化なども、来年度の重点施策として取り組む考えを示した。
一方で、今年度収支が大幅減益となった背景として、市況価格変動や原材料・資材等の価格高騰のほか、AP香港の13物件で回収不可能となった追加・変更請求分による損失32億円の計上を指摘。それに対する来年度の課題として、海外事業での事業基盤再強化や請負物件の管理・監査体制に改めて取り組む考えを示した。原材料・資材等の価格高騰に対しては、3月以降、対象商品の価格改定を進め、価格高騰分の約30%をカバーする考え。
そのほか、来年度の人事体制では、YKKとYKK APの両社の代表取締役会長CEOを務めてきた吉田忠裕氏が今年6月の定時株主総会後に退任し、両社の取締役に就任することを発表した。後任には、YKK代表取締役会長に猿丸雅之代表取締役副会長、YKK AP代表取締役会長に吉﨑秀雄代表取締役副会長がそれぞれ就任することが内定している。
吉田会長は、会長就任以来のAP事業の取り組みを振り返り、「時間をかけながら、窓という概念づくりを進め、『APW』という樹脂窓を作ってきた。世界を見れば当然のところに向かっており、その中で、他社にない良さをどうやって作るか。大きなテーマに挑戦できる時代に遭遇したことは非常に嬉しく、感動的だった」と振り返った。
YKK AP新会長となる吉﨑氏は「メーカーである以上、技術者の育成に重点的に力を入れたい。最後は人にある。現場に入って取り組むことにより、成果を出し、達成感を味わえる、実践力を持った技術者。技術的な課題に挑戦できる人をどんどん育てていくことが会社の強さになると考えている」と抱負を語った。
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