和建築設計事務所(長野県塩尻市、青木和壽代表)は今年度、長野県から助成を受け、県産材を使った高性能木製サッシを開発する。地元の木の可能性を窓の分野にも広げ、付加価値アイテムとして需要を獲得したい考え。県産材の品質安定性に対する信頼度の向上も期待する。
長野県産ヒノキ、アカマツ、カラマツを使い、プロトタイプとして各樹種5セットずつ、計15窓(幅711×高さ1400㎜)の外開き窓を製作。うち9窓をJISの試験に供し、熱貫流率や気密・水密性、遮音性などの評価を受ける。結果を山側にフィードバックし、使う木の含水率や強度の基準を定める計画だ。
木の支給は県内の製材所が担当。窓の製作は米サッシメーカーのマーヴィンウインドーズ・アンド・ドアーズ(ミネソタ州)が行い、輸出入はウッドランド(神奈川県横浜市)が協力する。いったん木を海外に持ち出すことになるが、生産・供給コストを考え、実現可能な体制として計画した。
「専用の設備を購入し県内で生産する方法もあるが、資金負担が大きいうえ一から市場開拓しなければならない。そのため、すでに高いレベルの品質・原価管理体制を持ち販路もある海外メーカーと組むことにメリットがあると考えた」と、和建築設計事務所の青木和壽さんはいう。
既存の生産ラインと流通ルートの一部を活用することで、試算では、輸入木製サッシと同程度の価格で県産材木製サッシを供給できる見通しだ。
今後、窓の製作に必要な部材を、強度と含水率を確認したのち、米国に送って製品化。これを日本に再輸入し、年内には建材試験センターで試験を行う。試験にかけない6窓の窓は、モデルハウスや、各種建材フェアの出展品に利用。販売開始は来年春以降の予定で「マーヴィンブランド」の窓としてプロモーションする。
問い合わせ和建築設計事務所電0263・51・0318まで。
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